【越山若水】「券売機カラス」は元気でいるだろうか。東京都内のJR駅に居着いたカラスである。利用客から奪ったICカードで切符を買うようなそぶりをするので知られた▼テレビの朝番組によると先日、ある女性らが捕獲し自宅で飼うことにした。それは違法な行為、と女性は知っていたが、何よりカラスの身の上を案じたらしい▼16日まで「愛鳥週間」である。その趣旨を確認するのに、これは格好の話題だろう。考えるべき条件がたくさんある。一つは、あのカラスが野生でないらしいこと▼都会に住まない種類だから、人に飼われていた可能性が高い。このため自らは餌を取れず、人にねだる。応じてくれないと攻撃する。実際、行政に苦情が寄せられていたという▼テレビは駅の利用客が券売機カラスをかわいがる様子も映していた。が、その行く末は決して安泰というわけではなかったようだ。餌不足で衰弱死、あるいは殺処分もあり得た▼さて、そこで捕獲の非常手段に訴えた女性は罪に問われるべきかどうか。「法は順守すべき」の意見はもちろん、あって当然。でも、その法とは鳥獣保護管理法である▼野生の鳥獣を守る法によって、その精神を体現しようとする人を裁くのは矛盾ではないか。まして券売機カラスが野生でないとすれば…。罰則はかなり重い。1年以下の懲役または100万円以下の罰金である。
 

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