アパート経営時の資料を手に「家賃保証で一定の収入があると信じていた」と語る元オーナー男性=福井県福井市内

 訴訟に至った例もあるとするが、「業者側は『リスクの説明は十分にしてあり、理解いただいて契約している』としか言わない。契約書自体は家賃収入をずっと保証するという内容の記載はなく、権利救済側として証拠を集めるのは難しい」と語る。

 この問題を受け、国土交通省は16年、家賃変動の条件に関するオーナーへの書面交付と十分な説明を不動産業者に義務付け、各業界団体宛てに通知している。だが、八木弁護士は「家賃保証のトラブルは、建築から10年ほどたって顕在化する。通知以前に契約されたマンションで、今も問題は起きている」とする。

 ■土地受け継ぐ風土

 総務省統計局による5年ごとの住宅・土地統計調査を基にした関係機関の算出結果によると、08年の県内の賃貸住宅空室率は30・1%で、都道府県別で最も高かった(全国平均19・0%)。13年調査では28・8%と分析され、全国ワースト水準で依然推移しているとみられる。

 需要を上回る賃貸住宅が建てられてきた背景について、県内のある不動産業者は「先祖から受け継ぐ土地を大事にするのが福井の風土。相続段階でも売却はせず、賃貸経営で活用しようとする人は多い」と分析。「家賃保証」をうたい文句にした業者の勧誘がこれに拍車を掛け、空室増を招いてきた面があるとみる。

 15年には法改正で相続税の基礎控除(非課税枠)が引き下げられ、相続対策の対象者が増えた。だが、宮永不動産(本社福井市)の宮永真孝社長は「マンションを持っていればもうかるというのは、バブル期の考え方」と指摘。建物が法定耐用年数に達すると、減価償却によって抑えられていた課税対象額が一気に上がり、建築ローンや補修費を家賃収入で確保できなくなる例は多いという。「健全経営のめどがなければ、安易に建ててはいけないという意識を」と訴えている。

 【家賃保証】 賃貸住宅のオーナーから運営会社が建物を賃借し、入居者に転貸する一括借り上げ(サブリース)契約で、オーナーに毎月一定額の家賃収入を保証する仕組み。オーナーは、空室が生じて家賃が入らなくなるリスクが軽減される。ただ一般的には、築年数の経過などに伴う家賃見直しが条件に盛り込まれており、当初の家賃収入が契約満期まで保証されるわけではない。

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