【越山若水】母の日は世界中にあるが、日本での起源をつくったのは米国女性アンナ・ジャービスとされる▼南北戦争の負傷兵を救う活動をしていた亡き母を忘れないようにと、彼女は1907年5月第2日曜、記念式を行う。会場の教会は、母が好きだった白いカーネーション500本で飾られた▼彼女は式の成功に感激し、国外を含む政財界やマスコミに多くの手紙を書いて母の日制定を訴えた。これが、やがて日本で普及していくきっかけになった▼ところが、運命は一転する。カーネーションが高値で売買され、グリーティングカードが飛ぶように売れるのを見た彼女は、ビジネス利用に怒りを覚えた。母の日の商業化反対運動にのめり込んでいき、あるときは催しを妨害して逮捕までされた。母から継いだ財産も気付けば失っていた▼晩年は母の日創設への後悔を口にしながら、引きこもるように暮らした。以上は「世界を騒がせた女たち」(マルコム・フォーブス他)で知った▼重い逸話に正直戸惑う。そこまで商業活動を敵視せずとも、おかげで日本では優しさあふれる日に定着したと、彼女に知ってほしい▼彼女の生涯を見ると、母の日は母を思う子の日でもあると教えられる。ならば贈り物や電話の1本、カードでも手紙でも、伝えたいことがあれば方法は好き好きで良い。自分の気持ちを見つめる日になったらいい。

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