昭和30年ごろ、今庄駅で大ヒットしたツグミ弁当の掛紙(福井県立歴史博物館蔵)

 現在も駅弁を製造販売している県内2社の古い掛紙もある。福井市の番匠本店の大正8(1919)年のものには、路線図とともに、足羽山公園や藤島神社、永平寺などの名所が記されている。敦賀市の塩荘の昭和9(1934)年の掛紙は、色彩豊かなデザインで、気比の松原や金崎宮などの名所を案内している。

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 昭和12(1937)年、日中戦争が勃発すると、国は掛紙を戦意高揚に利用するようになった。軍事輸送を担った蒸気機関車を図案に「全輸送力を戦争のために」とのスローガンや正面を見据えた威圧感ある兵士の顔を描き「沈黙!一人一人が防諜(ぼうちょう)戦士」の標語が記されている。

 同館コレクションの中には昭和30年頃に今庄駅で販売され、大ヒットした大黒屋(現高野商店)の「ツグミ弁当」の掛紙も。今では禁猟になっているツグミを食材にした、忘れられた駅弁があったことを伝えている。常設展では、JR北陸線沿線のものを中心に約20枚を見ることができる。

 現在販売されている駅弁は、強度の問題などから掛紙のあるものは少なくなっている。塩荘の杉本幸男副社長は「昔は、美しく味わい深いデザインが多かった。これからも日本独特の駅弁文化を残し、郷土の食材を発信していきたい」と話している。

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