満開を迎えたシランと中西忠義、節子さん夫妻=5月11日、福井県越前市文京1丁目

 紫のかれんな花をつけるシランによるまちづくりに取り組んできた福井県越前市南地区の紫式部公園で5月13日、第5回紫蘭(しらん)まつりが開かれる。活動の先頭には中西忠義さん(77)、節子さん(78)夫妻=同市=の姿があったが、今年3月に節子さんが急逝。満開の時期を迎え、忠義さんは「2人で続けたシランの植栽。まだ悲しみは癒えないけど、集大成となる今年のまつりを多くの人に楽しんでもらいたい」と来場を呼びかけている。

 「お父さん、きれいな花ね」―。

 2008年5月、市内の道端で偶然見かけたシランを株分けしてもらい、夫婦で自宅近くの街路樹沿いに植栽したことが始まりだった。すぐにご近所10人と東千福町環境美化クラブを立ち上げ、町内にシランを植えた。2年後には忠義さんが役員だった市南地区自治振興会の活動として地区全体に輪を広げた。

 4年前からは自治振興会が毎年5月に祭りを開催。昨年には、地域の沿道にシランを植えた「紫蘭街道」の総延長が5キロを突破した。国が提唱する「全国花のまちづくりコンクール」の優秀賞に輝き、東京の表彰式に夫婦で出席した。

 植栽を始めて毎年、花が見ごろになる前の1カ月間、夫婦で朝5時から街道のシラン周辺を掃除してきた。近年は2人の姿を見て、自主的に掃除を始める人も増えた。地域の事業所などから「うちの近くにもシランを植えたい」と声が上がるようにもなった。

 「節ちゃん、もう私たちが死んでも、地域からシランがなくなることはないね」

 忠義さんは5年続けた祭りの実行委員長など地域の役職を今年で引退し、祭りの後に夫婦でゆっくり旅行しようと約束していた。その矢先の3月19日、節子さんは浴室で心筋梗塞に倒れ、そのまま亡くなった。

 「自分がやることには何の文句も言わずに協力してくれる妻だった。2人で始めた植栽を続けることは妻の“遺言”です」と話す忠義さん。役職は終えても地域の一員としてシランに愛情を注いでいくという。

 祭りは13日午前10時から。紫蘭街道を巡るウオーキング、シランを使った生け花やフラワーアレンジメントの体験、子ども向けのミニ電車、軽食コーナーなどがある。問い合わせは武生南公民館=電話0778(23)5103。

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