【越山若水】「ジャパン・バッシング」(日本たたき)の言葉が流行したのは1980年前後。経済大国化した日本と欧米の間で貿易摩擦が表面化、不当な攻撃が加えられた▼特に米国では自動車販売が低迷し、相次ぐリストラで失業率は10%を超えた。反日デモが各地で行われ、日本車は文字通り、ハンマーでたたき壊されたものだ▼しかし90年代になって日本経済の存在感が低下すると、欧米の関心は成長の著しい中国などへとシフトした。これが「ジャパン・パッシング」(日本外し)である▼さらに2000年代に入ると、日本は政権交代の混乱や不況とデフレの悪循環で長いトンネルに。世界的な信用を失い、今度は「ジャパン・ナッシング」(日本無視)という屈辱的な呼称が広まった▼それから数十年、耳障りの悪い言葉が再び聞こえる。急展開を見せる朝鮮半島情勢で、北朝鮮への「圧力」を頑固に言い張る日本に「ジャパン・パッシング」の動きがある▼北の「完全な非核化」、つまり全てのミサイル放棄に向け、日本は段階的な対応を認めず見返りにも応じない。対話を重要視する中韓とは立場が違う▼きのうの3カ国首脳会談でも目標達成の道筋に温度差が際立った。ただ世界各国が一番に望むのは東アジアの平和と安定である。日本が蚊帳の外に置かれる「ジャパン・パッシング」の回避へ決断が迫られている。

関連記事
あわせて読みたい