【10年前のきょう・2008年5月10日】福井県などを舞台とした歌手さだまさしさんの短編小説「サクラサク」の朗読会(福井新聞社共催)が十日、福井新聞社・風の森ホールで開かれた。登場する家族の心情に添った情感あふれる語り口に、百八十人の観客が聴き入った。

 絶望的な家庭環境から目を背け仕事に打ち込む主人公が、認知症になりかけている父親とのかかわりの中で、家族のきずなを見つめ直す物語。小説の一場面で登場する「瑞泉寺」は美浜町早瀬の瑞林寺がモデルとなっており、寺へ向かう道中で家族が喜びを共有し、心のつながりを取り戻していく。

 敦賀市在住の舞台俳優人村朱美さんが、北陸の情景や崩壊寸前の家族が再生していく様子を臨場感あふれる語りで見事に表現した。

 朗読会の最後には瑞林寺の瀬戸弘(こう)湧(ゆう)住職が登場し、東京のホテルで偶然知り合ったさださんとの出会いや、寺がモデルとなったエピソードを披露した。小説に登場する桜の木や寺の白壁を再現した布絵も会場に飾られ、観客は耳と目で小説の世界を堪能していた。

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