平日にもかかわらず、大勢の観光客でにぎわう石川県金沢市の兼六園。外国人観光客の姿も多い=4月

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 課題もある。「市郊外の湯涌温泉などへ足を運ぶ人が少ない」と本島室長。兼六園などがある市中心部に観光客が集中しているのが現状だ。

 金沢市以外の地域はもっと問題が根深い。石川県の17年観光客数まとめによると、能登地域は14年比13・4%増の785万8千人で、加賀地域は6・5%増の569万5千人だった。伸びは示したものの、3年経過した今も金沢地域とは歴然の差だ。

 石川県観光企画課の巽陽一さんは「金沢市はもともと知名度が高くて観光客が多かった」とした上で、「金沢市内の観光だけで『石川県内全てを見て回った』という感じになっている」と分析する。

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 23年春に新幹線開業を迎える福井県にとって、石川県の姿は「映し絵」になる可能性がある。先行事例の課題を踏まえ、どう取り組むのか。

 福井市は、首都圏での知名度が高い大本山永平寺(永平寺町)、東尋坊(坂井市)との連携を強化し、郊外の一乗谷朝倉氏遺跡や越前海岸をアピールする構え。新幹線開業に向け、朝倉氏遺跡と大本山永平寺をつなぐ観光バスの増便などを検討するという。

 現在の金沢市と同じく、大阪につながるまでの間、暫定的に終着駅となる敦賀市は、敦賀港や日本海側初の鉄路が設けられた歴史をPRする方針だ。既に、首都圏と行き来する高速バスの車体に敦賀市をPRするラッピングを施すなど発信を強化している。

 だが都会にない地方の魅力を首都圏にアピールしているのは沿線自治体のどこも同じ。石川県からさらに、福井県まで新幹線で足を運んでもらうには「県内全体で仕掛けないと効果は出ない」(福井市おもてなし観光推進室)。福井県の総合力が問われている。

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