原画やサイン色紙を集め、準備が進められる加古さんの追悼コーナー=5月8日、福井県越前市の中央図書館

 福井県越前市出身の絵本作家で児童文化研究家、加古里子(かこさとし)さん(享年92)の訃報を受け、県内の図書館や書店で追悼コーナーの設置が始まった。子どもと向き合い、郷土愛あふれる作品の数々に、世代を超えたファンが改めて手を伸ばしている。出版社には全国の書店から注文が相次ぎ、追悼の動きが広がっている。

 越前市中央図書館では5月8日、特設コーナーの準備を始めた。著作の常設コーナー近くに、早ければ9日から加古さんが手掛けた水彩画や原稿、サイン色紙など10点近くを並べる。5月末まで。

 水彩画は同館開館に合わせ2006年5月に描いた。同市の日野山と村国山を背景に「だるまちゃん」シリーズのキャラクターが行進している。常設展示している複製版のほか、縦70センチ、横105センチの原画も飾る。7歳まで過ごした武生の思い出を鉛筆書きした原稿などを並べる予定。橋本美帆館長(55)は「子どもたちに真剣に向き合った先生の考え方や生きざまが、作品に投影されている。その素晴らしさを伝え、本を読んでもらうことが一番のご供養になると思う」と話していた。

 また、市「かこさとしふるさと絵本館」では9日から、加古さんへのメッセージを書いてもらうコーナーを設置。複製原画などを並べる追悼展の開催を計画している。

 福井県ふるさと文学館でも9日から蔵書を集めた特別コーナーを設ける。追悼展の準備も進めるという。福井市立図書館は8日、加古さんの代表作を棚に集めた。午前中から借りる人が相次いだ。

 福井市の安部書店エルパ店では8日、「かこさとしさん ありがとう」のポップを掲げ、追悼コーナーを設けた。店内にある50タイトルのうち、「どろぼうがっこう」「だるまちゃんとてんぐちゃん」など20タイトルを集めた。岩佐美香店長(37)は「加古さんの作品は福井の人の心にしっかり根付いていると感じる。キャラクターの表情は豊かで子どもを飽きさせない。大人になって読んで気付く素晴らしさもある」と話した。

 代表作「からすのパンやさん」の版元偕成社(東京)の担当者によると、同作は8日午前、インターネット書店アマゾンの書籍総合ランキング10位に。同書を含む13タイトルの重版を決定したという。

 計389万部のベストセラーを誇るだるまちゃんシリーズの版元福音館書店(東京)にも、訃報が伝えられた7日以降、全国の書店から注文が続々と寄せられ、「てんてこまいだった」と担当者。

「かわ」「宇宙」といった加古さんの科学的な知識に基づく絵本の注文も多い。「だるまちゃんとてんぐちゃん」が刊行され、だるまちゃん誕生50年だった昨年は、全国でフェアが繰り広げられた。「もう一度、加古さんの作品を伝えたいという本屋さんが全国にある」と話した。

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