【論説】希望の党と民進党の合流により結成された新党「国民民主党」。昨秋の衆院選で分裂した旧民進系を再結集し「安倍1強」に対抗する勢力をつくろうとの動きだ。しかしベテラン議員らを中心に不参加が続出、野党第1党の目標実現はおろか事実上、両党が四分五裂した格好であり、これでは国民の関心も集まらない。

 安全保障関連法に対する曖昧なスタンスなど、政策協議でひねり出した「玉虫色」の表現で、多くの議員を取り込もうとしたが、結局は旧民進の「寄り合い所帯」への回帰でしかなく、かえって離反を招いた。野党は、立憲民主党を含め、政権交代の選択肢となりうるとは言い難い。権力の監視や政策論議の深化などを地道に積み重ね、国民の信頼を得る以外に道はない。

 安倍政権を巡っては、1年余り前に、森友、加計学園問題が噴出。今年に入って財務省の文書改ざんや元首相秘書官の「首相案件」文書の発覚など疑惑は深まる一方だ。さらに、防衛省・自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)、財務事務次官のセクハラなど、統治機構の機能不全があらわになっている。

 疑惑を追及する野党にとっては追い風ともいえる状況にあるが、政党支持率は低迷したままだ。共同通信社の直近の全国世論調査では希望が1・7%、民進は1・1%。衆院選直後の昨年11月の調査では、希望が5・7%、民進0・9%で、特に希望の落ち込みは目を覆うばかりだ。

 希望は衆院選直前、当時の小池百合子代表(東京都知事)の「排除」発言などで支持は急速にしぼんだものの、比例得票率は17%に上った。現状の数字は、年明け以降、当初の政治理念を変えてまで統一会派や合流に走ったとの印象が拭えないからだろう。

 「安易な離合集散にはくみしない」とする野党第1党の立憲民主党の協力が望めないとみた希望の玉木雄一郎、民進の大塚耕平両党代表は両党の合流を優先。来夏の参院選までに立民を交えた新勢力を立ち上げようとの狙いだ。

 だが、希望では細野豪志元環境相ら結党メンバーをはじめ、多くの議員が新党への不参加を表明。民進でも参院の小川敏夫議員会長や野田佳彦前首相、常任顧問の岡田克也元外相らが離党。最終的に希望、民進の衆参両院議員107人のうち、参加者は62人にとどまった。新党の共同代表に選出された玉木、大塚両氏の構想は第一段階から不発に終わったといえる。

 野党は8日の衆院本会議から審議に応じることで合意。国会の紛糾は一義的には政府、与党の責任ではあるが、混迷する安倍政権を追及する場を、各府省の合同ヒアリングという場外で行うといった形は、実りあるものとは言えない。

 閣僚ら政治家の責任を明らかにする上でも、国会論戦は欠かせない。野党は一層連携して追及を強める必要がある。一方で、政策論議を重ね、修正すべき点は修正を迫るべきだ。一歩一歩地歩を固める努力を惜しんではならない。

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