激しく燃える温泉旅館「べにや」=5月5日午後1時45分ごろ、福井県あわら市温泉4丁目

 5月5日午後0時50分ごろ、福井県あわら市温泉4丁目の老舗旅館「べにや」から黒い煙が上がっていると警備会社から119番通報があった。いずれも木造2階建てで、国登録有形文化財(建造物)の本館、中央館、東館の計約3100平方メートルを全焼し、約4時間後に消えた。出火当時、旅館には宿泊客や従業員ら8人がいたが、いずれも逃げ出して無事だった。

 ⇒【動画】激しく燃える「べにや」

 あわら署によると、この火事でべにや北東側の空き家1棟と北側の住宅1棟の一部が燃えたほか、西側の建物の窓ガラスが熱で割れる被害が出た。消火活動中に落下物が背中に当たった消防署員1人が病院に搬送された。西風で延焼の恐れがあるとして、べにや東側の住民や旅館従業員に避難を呼び掛けた。

 嶺北あわら消防署などから消防車両33台が出動し消火に当たったが、西風で火勢は収まらず消火活動は難航。本館から中央館、東館に燃え広がった。ゴールデンウイーク真っただ中とあって、現場は多くの住民や観光客で騒然となった。

 べにやでは、2月の記録的な大雪で傷んだ雨どいの修理を数日前から行っていたという。本館2階が激しく燃えており、あわら署と嶺北あわら消防署は6日、実況見分して原因を詳しく調べる。

 べにやはあわら温泉街のほぼ中央に位置する1884(明治17)年創業の老舗。現在の建物は1956(昭和31)年の芦原温泉大火の後に再建された。本館、中央館、東館は、歴史的景観に寄与しているとして、2015年に県内の温泉旅館として初めて国登録有形文化財に指定された。

 あわら温泉街では昨年10月、べにやの約100メートル南側で店舗兼住宅など6棟を全焼する火事が起きている。

 福井地方気象台は、5日未明から県内全域に乾燥注意報を発表し、火の取り扱いへの注意を呼び掛けていた。坂井市春江町随応寺の嶺北消防本部では、出火した午後0時50分ごろに最大風速11・9メートルを記録していた。

 

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