啓新―福井商業 1失点で完投し、ガッツポーズする福井商業の先発加藤実里=5月3日、福井県営球場

 【第140回北信越地区高校野球福井県大会準決勝・福井商業2―1啓新】

 球速は120キロ台。それでも福井商業の加藤実里には磨き上げた球の切れがある。1失点完投で啓新・上ノ山倫太朗との左腕対決を制し「啓新に昨秋負けてからずっと勝つことを目標にしてきた。気持ちで投げた」と会心の笑みを浮かべた。

⇒福井商業が啓新を下し北信越切符

 序盤から再三走者を背負いながらも「しっかり腕を振った」。要所で伸びのある直球が決まった。2―0で迎えた七回は連打などで1死二、三塁とされたが、9番岩田誠世を真っすぐで空振り三振。四球で満塁となった後、2番松村望も直球勝負で中飛に打ち取った。

 昨秋の啓新戦は5回3失点で降板。1回戦敗退の屈辱を味わった。「あの日は野球人生で一番悔しかった。もう負けたくない」。制球難の課題を克服するため、冬は打席に打者や人形を立たせ、内角球を毎日100球投げ込んだ。

 昨秋75キロあった体重を走り込みなどで68キロに絞り、福井商業OBの兄の助言で「スピードより回転の利いた切れのある直球」を磨いた。この日の八回1死二塁では5番小浜剣信を追い込むと内角にズバリ。直球で見逃し三振を奪った。

 九回に1点を失ったが、米丸友樹監督は「最後はよく粘って投げた」とたたえた。昨秋の借りを返した加藤は「決勝もいける。準備したい」と頼もしい。身長168センチのエースが自信をつけ、名門が復活ののろしを上げた。

関連記事