【越山若水】農家の人ならよく経験するだろう。稲や麦を触っているとチクチクかゆくなる。それを「はしかい」と言うのは方言だと思っていたら、ネット辞書に解説があった▼チクチクの原因は穂にあるヒゲのような「芒(のぎ)」で「はしか」とも読む。それが形容詞的に使われるようになったという。一方、外来の病名の読みにも使われた▼麻疹である。いま沖縄県で流行しており、沖縄タイムスによると4月28日現在、患者は76人に上る。感染は愛知県へ広がり、こちらは8人の感染者を確認している▼沖縄旅行から帰った10代の男性が感染を知らずに病院を受診した結果、職員や来院者ら周囲に広げたようだ。はしかは、すれ違っただけでもうつるという。十分な警戒が必要だ▼2007年の大流行を思い出す。この年、73の高校と83の大学が学級・学校閉鎖に踏み切った。インフルエンザ以外ではかつてない事態だった。翌年も1万人以上の患者が出た▼あれから10年余り。「はしか輸出国」と批判された日本は近年、土着ウイルスによる感染がない「排除状態」と認定されていた。ワクチン接種が功を奏したからだった▼そのワクチンは常識も変えた。はしかにかかるのは一生に一度きり、という常識だ。ワクチンで得た免疫力は長続きしないので、複数回かかることもあるらしい。かかれば治療薬はなく、チクチクでは済まない。
 

関連記事
あわせて読みたい