【越山若水】図書館の本の背表紙には、一冊ずつ番号を書いたシールが貼ってある。書物の内容ごとに分類された「住所」みたいなもので、書棚では番号順に整然と並んでいる▼この分類法は米国の大学図書館職員、M・デューイが考案した。市民に図書館を開放する時、利用者が特定の書物を見つけやすい方法はないかと知恵を絞った▼大学教授の助言も受け、学問領域を「哲学」「歴史」「技術」など10種に大別。さらに2桁目を「綱」、3桁目を「目」と細分化。5桁にすれば10万種に分類できる▼学生アルバイト時代も含めて約20年、デューイ氏が工夫を重ね1876年に完成させたのが、番地割り当て方式の「十進分類法」だ。革命的なやり方は世界中の図書館で分類の原型として活用された▼分類の中に「049」という番号がある。区分名は「雑著」。社会学でも民俗学でもない。さりとて評論とも言い難い。とりあえずそこに入れ、後で考える。要するに「臨時収容所」である▼社会学者、加藤秀俊さんが書いた「常識人の作法」(講談社)を読んでつくづく考えさせられた。人間社会にも「049」があれば随分助かるだろうに…▼新生活がスタートして1カ月。昔から「五月病」と言われるように、学生も社会人も心身の疲労や迷いが生じる頃である。そんなときはひとまず「049」の臨時収容所に退避すればいい。
 

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