訪れた高齢者たちに笑顔で食事を提供する早川緑さん=4月17日、福井県福井市の「まちよかcafe」

 ■手や腰縛られ

 2016年8月、体重が26キロまで落ちた。身長155センチの体には異常なやせ方だった。命を守るためには入院するしかなかった。閉鎖病棟では、手と腰を縛られた。「初めて死を現実として突きつけられた。そのとき、心底生きたいと思った」

 母親は毎日見舞いに来て、父親は「何年かかってもいいから元気になれ」と見守ってくれた。入院前に少しだけ世話になった職場の仲間は「(職場復帰を)待っているよ」と言ってくれた。早川さんは「心を治してくれるのは人の優しさ。本当に救われた」と振り返る。

 ■素直に笑える

 昨年3月に退院。現在は元の職場で、福祉事業所が運営する市内の地域交流スペース「まちよかcafe」で、週5日パートとして働いている。近くの高齢者たちが食事やお茶を楽しみにやって来る。「お待たせしました。ランチです」「いつもありがとうございます」。笑顔の早川さんを眺めながら、70代の女性は「悩みがあると、少し早く来て(話を)聞いてもらうの。若いのに気遣いができるし、娘にしたいわ」と目を細める。

 「これまでは作り笑いの人生だったが、今は心から素直に笑える。生きていて本当に良かった」と話す早川さん。「ひきこもって何もできなくても、たとえ心を病んでいても、今を生きていることに意味がある。そして、そんな人たちを優しく受け入れる社会であってほしい」と訴えた。

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