福井県総合グリーンセンターが開発した県産の無花粉スギ=4月24日、坂井市の同センター

無花粉スギの開発の流れ

 福井県総合グリーンセンター(坂井市)は4月24日、花粉症対策の一環として、県産無花粉スギの開発に成功したと発表した。約12年間かけ、県産のスギと既存の県外産の無花粉スギを人工交配するなど研究を進めてきた。本年度から増産体制に入り、2020年度に種子を苗木生産者へ供給し、23年度の初出荷を目指す。県内に約10万ヘクタールあるスギの人工林で徐々に無花粉スギを増やしていく。

 06年度に開発に着手した。まず県産の良質なスギ「精英樹」と、既に開発されていた富山県産の無花粉スギを人工交配。花粉を持つ遺伝子と無花粉の遺伝子を半分ずつ持つ雑種第1代(F1種)を作った。無花粉の遺伝子は劣勢のため、F1種は花粉がある。

 次にF1種同士を掛け合わせた雑種第2代(F2種)を作った。16年度からその苗木900本について花粉の有無を検定したところ、約4分の1に当たる253本が無花粉スギであることが分かった。

 同センターは本年度から、センター内に採種園を整備し無花粉スギの増産体制に入る。無花粉スギ同士では交配ができないため、F2種の無花粉スギと、無花粉遺伝子を半分持つ石川県産の精英樹を交配し、5割の確率で無花粉スギの種子ができるようにする。他のスギの花粉が飛来し交配しないよう採種園はビニールハウスにする。

 20年度には県内の苗木生産者に種子を供給し、23年度に苗木約千本を初出荷する計画。徐々に生産量を増やし、29年度には2万5千本の出荷を目指す。

 同センターによると、県産無花粉スギは精英樹の遺伝子を引き継いでいるため、材木としての品質や成長のスピードは劣らないという。鈴木昌一所長は「約3割の人がスギ花粉症といわれている。まずは市街地に近く木材の生産効率が高い山際から無花粉スギの植樹を進めていければ」と話した。

 同センターによると、無花粉スギは福井のほか10県で研究が進められ、そのうち富山、新潟、神奈川では苗木が生産されているという。

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