不妊治療について語る清水智信さん夫妻

 国内では現在、5組に1組の夫婦が不妊に悩んでいるとされる。晩婚化や生き方の多様化により出産年齢が上昇したことなどが要因とみられている。不妊治療は特に女性の体への負担が大きく、子どもができるかどうか分からない不安や周囲の無理解などのため、夫婦が精神的に追い込まれることも多い。当事者へのインタビューや座談会、医師の話などを通して、福井県内の不妊治療の現状や課題を探る。初回は、夫婦で不妊治療に取り組み、治療の“入り口”となる検査の助成制度の必要性を訴えた県議会議員の清水智信さん(36)、静恵さん(36)夫妻=福井市=に思いを聞く。

 -智信さんは、昨年12月の県議会で自らの不妊治療を公表し、助成の必要性を訴えた。

 智信さん 不妊治療は女性への負担が大きく、仕事をしながら続けるには周囲の理解が大切。県議として県議会で公表して理解を求めることで、みんなが治療しやすくなればと考えた。子どもについて聞かれることが増えたので、公にした方が楽だった部分もある。もう少し本人たちが言いやすい雰囲気になり、配慮し合えればと思う。

 -いつ治療を始めたか。

 静恵さん 前々から1人では病院に行っていたが、2人で行ったのは2016年、34歳の時。結婚して10年近くたっていたので、検査後すぐ人工授精に挑戦した。

 智信さん 妻はずっと子どもをほしがっていたが、私はボクシングやジムの開設など仕事も忙しく、なかなか思い切れなかった。産婦人科に行くのは嫌だったが、一度行って覚悟が決まった。

 -どんな治療を行ってきたか。

 静恵さん 人工授精の2回目で稽留(けいりゅう)流産し、その後3回挑戦したがうまくいかなかった。昨年から体外受精も行っており一度妊娠したが、流産してしまった。

 智信さん 稽留流産の時は、知識が少なく、妊娠したら産まれるものだと思っていたのでとても落ち込んだ。子どもが生まれるのは奇跡なんだと分かった。

 静恵さん そこからお互い出産についてよりじっくり調べるようになり、会話が増えたのは良かった。一方で大変だなあと思うのは、体外受精のための採卵では、痛い注射を毎日打って、全身麻酔をする。さらに受精卵を体に戻すまでに2カ月ほどの期間がかかり、その間もどんどん年を取るのでとても焦る。また、順調に子どもができた人には「どうしてできんの」と言われたり、安静が必要なことが伝わらず、理解を得るのが難しいこともある。

 -検査費用助成の制度化や治療を通して思うことは。

 智信さん 治療にはお金がかかって大変だが、補助が出ることで一歩を踏み出しやすくなるはず。検査を通じて原因が見つかれば、道が開けるのでは。治療する人たちは「子どもをつくろう!」という前向きな思いでいるので、不妊治療という名前はあまり好きではない。妊活とか、コウノトリ治療とかもっと明るい名前にしたい。県内でも晩婚化に伴いが出産年齢が上がっているので、今後不妊治療の需要は増えると思う。もっと早く結婚・出産するような啓発活動もさらに必要。

 静恵さん 経験談を聞きたいので、不妊治療を経験した人たちと話せる場がほしい。また、年齢や金銭的なことから途中であきらめなければならない場合もあると思う。2人で生きていく夫婦の心をケアする環境づくりができるといい。

 =福井新聞の子育て紙面「はぐカフェ」は毎週月曜に掲載中!

関連記事
あわせて読みたい