テオ・ヤンセン氏が描いた1作目のスケッチ(C)Media Force

 風を受け生命体のように歩く大型のアート作品「ストランドビースト」で世界的に有名なオランダのアーティスト、テオ・ヤンセン氏(70)が、越前和紙を使った新作2体を制作している。2019年秋に福井県内で開かれる「国際北陸工芸サミット」の目玉作品として、福井県が制作を依頼した。県によると、ヤンセン氏と日本の伝統工芸とのコラボレーションは初めて。県は「福井が誇る越前和紙の世界的な知名度向上を期待したい」としている。

 ストランドビーストは、帆で風を受けてプラスチック製の複雑な骨組みが動きだす作品。まるで生きているように砂浜を歩く姿が06年にテレビCMで取り上げられて世界的に有名になった。ヤンセン氏は数々の世界的アート賞を受賞し、12年にはフランスで最も栄誉ある勲章「レジオン・ドヌール」も受章した。

 県は17世紀のオランダの画家レンブラントの版画作品に越前和紙が使われていた可能性が高いことを契機に16年11月、同国における現代の大物アーティストであるヤンセン氏に越前和紙のサンプルを送って作品の制作を打診。県によると、物理学者でもあるヤンセン氏は耐久試験を行って和紙でも作品に推進力を生み出せると判断。「オランダと日本は江戸時代から多くの文化的な交換があった。和紙で意表を突くような形状を創作するのはアート的にチャレンジング」と快諾したという。

 ヤンセン氏は日本の折り紙や歌舞伎からイメージを膨らませ、昨年10月に1作目のスケッチを制作。それを基に越前和紙の企画製造販売の杉原商店(越前市不老町)がコーディネーターとなり、滝製紙所(同市大滝町)が手漉(す)きと加工を担当した。既に1作目の和紙は現地に輸送、今秋に2作目と合わせオランダで試走する。

 同サミットは、伝統工芸の国際的知名度アップなどを目的に文化庁、北陸3県が協力して昨年度から5年かけて開催する。メイン事業は3県持ち回りとし、福井県は19年度を担当。サンドーム福井で開く国際工芸展の目玉にヤンセン氏の新作を位置付ける。県は「これまで絵画が中心だった越前和紙の芸術分野への活用が、彫刻や造形にも拡大し、多くの芸術家が越前和紙を使用するきっかけにしたい」と話している。

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