不登校から立ち直り、現在はキャンピングカーで全国の森を巡りコンサートを開いている山田証さん=3月、千葉県千葉市

 「僕も旅に出ようか 君の涙を止めるすべを探しに行こう♪」。鳥がさえずる木立に響く、語りかけるような歌声。キャンピングカーで全国の森を巡ってコンサートを開いている山田証(あかし)さん(39)=福井県福井市出身=が、ギターの弾き語りを披露する。「不登校だった中学校時代に考えた歌詞。コンサートのたびに歌っている、お気に入りの一曲」と笑顔で語る。

 不登校になったのは中学2年の春。福井市内の学校に転校後、クラス内で別の男子生徒と比較され、背が低く、勉強ができるわけでもなく、スポーツも苦手だったことでいじめられた。クラスに居場所がなくなり、ひきこもった。「クラスで認められる個性がないとやっていけない。人に誇れるものがないと社会で生きていけない」と考えた。

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 立ち直るきっかけは演劇だった。数カ月後、担任が心配し「文化祭の演劇に出よう」と誘ってきた。そもそも人前で話すことすら苦手で嫌だったが、「セリフが少ない『村人1』の役だったら」と参加を決意した。

 稽古が始まると、魅力に気付いた。「脇役も主役も小道具係も、演劇では全ての人が必要とされる。クラスで居場所のなかった僕にとって救いだった」。授業には出ないが、放課後の稽古のために登校するようになり、仲間もでき始めた。

 「役者になれば個性ができる。役者で生きていこうと決めた」。卒業まで2年間、ほとんど授業は出ないままだったが、進学した道守高で演劇部を立ち上げた。4年かけて卒業した後は東京で芝居を続け、独り立ちしようと20代半ばからシンガー・ソングライターになった。

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