ロープを使った救助訓練に挑む正木照子巡査部長=4月5日、福井県大野市の荒島岳

 福井県警大野署の山岳救助隊に今春、県警初の女性隊員が加わった。現時点で県警の11部隊約170人のうち唯一で、女性遭難者へのこまやかな対応が期待されている。任命を受けた正木照子刑事生活安全課巡査部長(44)は「体力を維持、向上させ、女性に対する気遣いや声掛けに力を入れて不安を和らげたい」と意気込む。

 正木さんは夫の影響で7年前から山に登り始め、1カ月に2、3度は県内外の山へ足を運ぶ。大野盆地を囲む荒島岳や経ケ岳、銀杏峰は何度も登った。槍ケ岳や剱岳といった標高3千メートル級の山も制覇しており、同署山岳救助隊長の今井正己署長は「署内では群を抜いて登山経験が豊富。山を愛しているが故に山の怖さも知っており適任」と太鼓判を押す。

 県警捜査1課や通信指令課などでの勤務を経て今春、大野署に異動した。登山経験は豊富だが「救助自体は初めて」と正木さん。「自分で登るのと人を助けるのはまた違う。これからいろいろな技術を身に付け、早く活躍できるように頑張りたい」と話す。

 県警地域課によると昨年、県内の遭難者30人のうち女性は13人。大野署管内では9人中4人と女性が約半数を占める。健康志向の高まりで女性の登山客が増加するのに伴い遭難者も増えているとみられ、今井署長は「精神面において女性にしかできない対応がある。異性には言いにくい相談事や要望も言いやすくなるのでは」と期待を寄せる。

 今月5日、同市西勝原の荒島岳登り口付近で救助訓練があった。正木さんは初めての訓練に緊張した面持ちを見せつつも、急勾配の登山道を進む「健脚訓練」では男性陣の先頭に立って息を切らさずに登りきった。要救助者役の署員には、穏やかな口調で「大丈夫ですか」などと声を掛け、心のケアに配慮していた。

 登山や山菜採りを楽しむ人が増える春先は遭難者も多いシーズン。正木さんは「女性は体調が変化しやすい。当日の体力、体調をしっかり把握し、無理のない計画を立てて安全に楽しんで」と呼び掛けている。

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