【越山若水】最近の健康志向を受け、病気への関心はかなり高まっている。では少し風変わりな、こんな病名はご存じだろうか。「サナギ病」。ある仕事に多い職業病だという▼政治学者の加藤秀治郎さんが「エラーイ教授 偉くない教授」(一藝社)で披露している。学者 がかかりやすい病気で、評論家の故谷沢永一さんの命名らしい▼長らく学者をやっているうちに「チョウになりたい」という気持ちが膨らんでくる。まるでサナギのように、学部長や学長など「チョウ」への欲望に身もだえする▼そのビョーキは徐々にエスカレート、学内から学会の役職へと対象を広げる。チョウになれない自称「平のサナギ教授」の加藤さんは、若い頃の夢を失い周りの評価を気にする姿は悲しい限りと言う▼昨今では霞が関の官僚にも「サナギ病」が蔓延(まんえん)しているようだ。森友・加計学園問題で政治の関与が疑われる事態になっても、何かを守ろうとひたすら同じ発言を繰り返す▼もちろん官僚が気にかけるのは、仕事ぶりを評価し人事権を握る内閣官房だろう。人事は首相や官房長官の胸三寸で決定し、顔色もうかがいたくなる▼内閣人事局が創設されたのは2014年。各省庁で決めていた人事案は、政治主導の名の下、官邸の一元管理となった。その数、審議官以上約600人。これこそ「サナギ病」と「忖度(そんたく)」の土壌と見る人は多い。

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