【論説】古い町並みを残す福井県小浜市中心部の町家を宿泊施設にする事業が、好調に滑り出している。歴史ある小浜にぴったりの宿泊施設と言え、順調に客数を伸ばし手応えを得ている。ただ、古民家の物珍しさだけでは立ち行かない。若狭の観光資源とどのように絡め、魅力、知名度をアップさせられるかが鍵を握る。

 町家の宿泊施設化に取り組んでいるのは同市の第三セクター「まちづくり小浜(おばま観光局)」。昨年3月下旬、同市の旧料亭を改修し、貸し切り宿「三丁町ながた」としてオープンさせた。今年3月下旬には、「ながた」に程近い商家風の町家を、同様に「丹後街道たにぐち」として開設した。

 「ながた」は同市の重要伝統的建造物群保存地区「小浜西組」にあり、周囲は花街として栄えた風情ある景観。昨春のオープン以来、予想を大きく超える約100組が利用するなど好評を得ている。

 客の年齢層は30〜40代で週末の利用が多い。ネットの宿泊予約サイトからの利用が大半で、おのずと若い世代に偏ることになるという。平日を埋めるには高齢者の誘客が肝となるが、ネットへのなじみが比較的薄いとみられるだけにPR手法の工夫が必要だ。また外国人客の誘致へ今後、外国人の利用が多い予約サイトの活用を模索している。

 古民家を活用する取り組みは、国の観光立国推進基本計画でも重点が置かれている。全国各地では、同様の宿泊施設が増えている。古い町家は京都など各地にあり、決して希少価値があるとは言えない。

 単に古い町家の宿をPRしていくだけでは発展は難しい。料亭時代の趣を残した建物内に好評を得ているとはいえ、あくまでも宿泊施設。利用客の目的は周辺観光に尽きる。

 小浜の施設は基本的に素泊まりで、中心部にある町家などを改装した飲食店など、周辺を楽しんでもらうのがコンセプト。全国に誇れる食文化、海など、小浜の魅力と風情ある宿を一体で楽しめるプランづくりがポイントとなりそうだ。

 まちづくり小浜は、京都の観光客を小浜に誘引する策も視野に置いている。例えば、かやぶき屋根の建物群が有名な京都府美山町には近年、京都市からの観光客が流れ込んでいるという。もう少し足を延ばせば小浜という位置関係で、知名度さえ上がれば同様の流れが期待できる。

 まちづくり小浜では2カ所ある宿泊施設を今後、5カ所まで増やす方針。若狭の食のPRに関しては今春から、小浜市、若狭町で「御食国(みけつくに)アカデミー」事業が行われている。連携しながら、効果的な売り込みを展開してほしい。
 

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