【論説】2023年春の北陸新幹線敦賀開業まで5年を切った。工事発注は全て終わり、駅舎デザインも決まった。高架工事も着々と進む。一方、次に迫る課題もはっきりしてきており、大きく分けて四つが挙げられる。課題解決に向けて今後、県を中心に沿線自治体、政財界が一体となった取り組みが求められる。悠長に構えている暇はない。

 新幹線を巡る課題は▽フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)導入問題▽第三セクターによる並行在来線の在り方▽敦賀から大阪までの建設財源確保▽まちづくりの在り方―の四つに整理できる。それぞれが連動している部分もあり、いずれも簡単に解決できる問題ではない。

 ■今夏にもFGT対応■

 まず、今夏にもクローズアップされそうなのがFGTだ。国には敦賀開業後、大阪までの全線が開通するまで暫定的にFGTを導入する計画がある。しかし九州新幹線で開発を進めているFGTが事実上困難とされ、北陸新幹線での導入にも暗雲が立ちこめる。今夏の概算要求前には九州新幹線の対応が示されるとみられ、北陸新幹線ではどうするか、議論が活発化するだろう。

 FGTが無理となれば、県民の利便性を考えると特急サンダーバードを敦賀以北に走らせる特急乗り入れの議論は不可避だろう。しかし、特急乗り入れは回り回って新幹線の整備財源減や、並行在来線を運行する三セクの収入減につながるデメリットがある。FGTが前提で進んできた新幹線整備なので、FGT断念ならば財政負担など国の責任ある対応が求められる。

 ■建設財源確保は政治力■

 並行在来線の三セク化の議論も急がなければならない。三セクは富山、石川に参考となる先行事例がある。県内にもえちぜん鉄道、福井鉄道があり、三セクを議論する材料は多くある。ただ、福鉄はJRとも並行して走っており、すみ分けは重要だ。三セクを地域の足として便利に、しかも効率よく成り立たせるためにはどうすればよいか。県民や沿線自治体の十分な理解が必要だ。

 敦賀開業後の大阪までの延伸も待っているだけでは済まされない。敦賀以西のルートは決まったが、建設財源の裏付けがないからだ。国の方針は北海道新幹線の札幌開業後の31年春以降に着工し、完成はそれから15年程度かかるという。これではあまりに遅すぎて話にならない。財源の確保はまさに政治力が問われることになる。

 ■観光だけではない■

 三つの課題とは性格がやや異なるが、まちづくりは身近な問題として県民が注視している。各駅舎デザインが決まり、マイステーション意識も徐々に出てきた。南越駅(仮称)周辺では福井経済同友会がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致構想を提言するなど刺激的な意見も出ている。IRにはマイナス面も指摘されるが、議論の起爆剤として住民を巻き込んだ協議を活発化させてほしい。

 まちづくりで焦点の一つに挙げられるのが訪日外国人客をどう取り込むか。観光によるまちづくりが主流になっている。もちろん、それも重要だ。ただ新幹線は人を呼び込む力は絶大だが、人を送り出す力も持つ。観光客がやってくる以上に県内の若者が流出しては本末転倒になる。県民が地元を愛し、定着するまちづくりが欠かせない。

 敦賀開業まで5年。県民の盛り上がりはまだまだだが、取り組むべき課題は待ったなしだ。しっかり戦略を描き、県内与野党を問わず政財界を挙げた取り組みが強く求められる。
 

関連記事
あわせて読みたい