【論説】政府が今国会の最重要政策に位置付ける働き方改革関連法案は、長時間労働是正の加速が期待される一方、労働時間規制の対象外となる「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」に野党が強く反発。6日に国会提出されたが、審議の行方は波乱含みである。森友、加計問題の影響などもあって審議入りが大幅にずれ込む観測も出てきた。労働時間見直しは喫緊の課題だ。政府与党は、議論の環境を早急に整える責任がある。

 法案が掲げる労働時間見直しは、時間外労働(残業)に罰則付きで上限規制をかける長時間労働是正と、高プロなどの多様で柔軟な働き方実現が2本柱。しかし野党が反対している高プロは多くの論点を抱えており、もともと審議の紛糾が確実視されていた。

 高プロは、高度な専門知識を持ち、給与が一定水準を超えている人を残業規制適用外とするもの。「働いた時間」と「成果」の関連が薄い業務が対象となる。

 残業規制適用外といっても、健康管理が不要になるわけではない。高プロ対象者が在社した時間と社外で働いた時間の合計(健康管理時間)の把握方法を、労使で決めることになっている。働いた時間の確実な管理が前提だ。

 その上で企業に、年104日以上かつ4週間で4日以上の休日付与などを義務付ける。また▽始業から24時間経過までの間に一定の休息確保、深夜業の回数制限▽健康管理時間の1カ月または3カ月の上限措置▽連続2週間の休日を年1回以上▽臨時健康診断―のいずれかを実施する(選択的措置)こととしている。

 しかし、共同通信社が行った主要企業約100社アンケートでは、7割が高プロに賛否を保留した。要は、法案の中身がまだ理解されていないのではないか。「70年ぶりの大改革」(安倍晋三首相)というのであれば、政府はもっと国民への説明が必要だ。

 例えば「4週間で4日」という休日は、常識的には6勤1休に近い状態だとしても、制度上は24日連続出勤が許容されるように読めてしまう。休日は労使の決議などを経て決定することにはなっているが、何らかの歯止め策を明記しなくてよいのか。選択的措置も、一つだけで大丈夫なのか。

 何より、多くの企業が上限規制への対応にこれから取り組む状況下、抜け道に使われないとは言い切れないだろう。高プロは運用次第で、労働時間が短縮方向になるケースもあると思われるが、健康管理時間の上限措置が選択的措置である以上、長時間労働に結びつく懸念は、やはりある。

 命と健康に関わる長時間労働是正は待ったなしの課題。ただでさえ、昨秋の衆院解散や裁量労働制の拡大撤回などで対応が遅れたのに、法案が審議できなければ改革のスタートにすら立てない。政府与党は高プロの修正や、場合によっては法案からの切り離しも柔軟に検討し、野村不動産への特別指導問題などにも真摯(しんし)に対応して、審議環境を整える努力をすべきだ。

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