人工透析中にペダルをこぐ運動をする患者=福井県福井市の福井赤十字病院

 腎臓の機能を人工的に代替する「人工透析」は、1回あたり約4時間を要し、基本的に週3回行う必要がある。この透析の時間を利用し、運動不足を解消して筋力や身体能力の低下を防止しようという取り組みが福井県内の医療機関で広がりつつある。日々の入眠にも好影響が出ている。

 人工透析を導入する患者の平均年齢は68・4歳(2012年時点)。高齢化が進み、腎臓の病気とともに、筋力や身体機能が低下した「サルコペニア」や、歩行・立ち座りなどの移動機能が衰える「ロコモティブシンドローム」を抱える患者が増えている。県内の医療機関でも、車椅子や杖で来院する透析の患者が目立っているという。

 下肢筋力は患者の予後を左右するといわれる。日常生活での動作の能力低下は透析導入1年目が最も大きいとされ、認知機能の維持や転倒による骨折防止の意味からも、早い段階から下肢筋力の維持に努めることが重要だ。

 透析中の運動療法は、東京の透析専門クリニックが取り組み始め、全国で啓発活動を展開している。約90人の透析患者が通う福井赤十字病院(福井市)では2年前に取り入れた。状態が安定している透析開始後およそ1時間以内にベッドに横になり、自転車のペダルをこぐような動きの「エルゴメーター」を約15分間行う。

 腎センターの高嶋節子看護師長は「足が軽くなった、足がつる回数が減った、よく眠れるようになったといった声が聞かれる」と話す。最高血圧が90を切っていた低血圧の合併患者が、この運動療法を実践したところ、100以上になり歩行可能になった例もある。

 また、就労しながらの透析患者は、運動時間の確保はなかなか困難。糖尿病性腎症を患い、透析を始めて3年目の40代男性は「定期的に運動するいい機会になっている。透析中の気分転換としても有効だと思う」と話していた。

関連記事