【論説】全国区になれるか、勝負の年だ。

 福井の新ブランド米「いちほまれ」がいよいよ今年、本格生産・販売される。昨年9月からの試験販売では、首都圏での知名度不足という課題が浮き彫りになった。全国でブランド米が続々誕生する中、どう差別化し認知度を高めていくか。本格販売開始まであと半年。独自性のある効果的な戦略を立てる必要がある。

 試験販売では、県内出荷分の230トンは2カ月足らずでほぼ売り切れた。一方で首都圏用の350トンは現在までで、約3割の販売にとどまっている。

 これまで福井産の米はあまり関東方面には流通しておらず、知名度不足がネックになるであろうことは容易に想像できた。それを克服するために試験販売では、首都圏の30以上の店舗に県職員が出向いて試食イベントを展開した。

 専門販売員の「コンシェルジュ」も養成し、週末を中心にPRを行ってきた。県はこれらの取り組みを本年度も続ける構えだが、この半年間でどれほどの効果があったのか、きっちりと検証し次につなげてほしい。

 「ブランド米は地元では売れても、首都圏では軒並み苦戦している」。ある業界関係者はこう指摘する。要は全国から新品種が次々と流通し、消費者にその違いがうまく伝わっていないのだ。イメージ戦略が大切で、人気タレントをCMに起用し有名になった北海道の「ゆめぴりか」は数少ない成功例といえよう。

 県は本年度、いちほまれのブランド化事業に1億6千万円の予算を計上した。県JAグループも同額を負担し、総事業費は3億2千万円に上る。首都圏向けにテレビCMを制作する計画というが、よほどインパクトのある内容にしないと北海道の二番煎じになる恐れがある。いちほまれは約6年の歳月をかけ20万種の中から厳選した、「コシヒカリ発祥の地・福井」が本気で作った米だ。そのストーリー性を強調し、消費者の心に響く感動的なCMにしてはどうか。

 追い風もある。日本穀物検定協会が発表した2017年産米の食味ランキングで、いちほまれが最上級の「特A」に選ばれた。県産コシヒカリ、あきさかり、ハナエチゼンも特Aとなり、全国最多の4品種が最高評価に輝き「米どころ」としての実力を見せつけた。この快挙は、これからいちほまれを栽培する農家にとって励みになるだろう。

 首都圏で全国のブランド米が一様に苦戦している。ということはまだ横一線で、いちほまれが頭一つ抜け出すチャンスは大いにある。本格販売開始の秋までに、どんな魅力的な戦略を打ち出し実行に移せるか。期待を込めて見守りたい。
 

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