こころ紡ぐ会の例会。会員でひきこもり当事者が家族にいるのは馬田昌保さん(右列奥)だけだ=3月15日、福井県越前市内

 ひきこもり当事者や家族を支援する福井県越前市の市民団体「こころ紡ぐ会」の月例会参加者の中で、家族に当事者がいるのは会の発起人で代表の馬田昌保さん(78)=同市=だけだ。「本当は当事者や家族が集い、悩みを打ち明け合う場にしたかったのだけれど…」。2015年の発足から3年。馬田さんの思いを阻むのは「社会の偏見と無理解。ひきこもりだと打ち明けられない風土」だ。

 こころ紡ぐ会は、馬田さんが知人の元教員や主婦らに声を掛けて立ち上げた。県内では不登校の子がいる親でつくる「やよい会」が30年以上前から福井市で活動しているが「日本の人口の1%がひきこもりとされ、越前市だけでも約800人いる計算になる。丹南地域の当事者や家族が福井まで通わなくても済むよう、新たな受け皿になろうとした」と当初の狙いを語る。

 やよい会の代表世話人や、ひきこもり経験者らを招いたシンポジウム、講習会を不定期で開いてきたが、予想していたほどには人が集まらず、地元より奥越や坂井、嶺南など遠くからの参加が目立った。月例会には、誰も来てくれなかった。

 もっと気軽に参加できる場が必要と、昨年11月からは越前市内の公民館の一室を借りて「フリースペース紡ぐ」と銘打ち、当事者や家族に訪れてもらう試みを始めた。今年1月まで3回開いたが、参加はゼロだった。

 馬田さんは「本人が怠けていて親も甘やかしているとか、ひきこもりの人は病気といった偏見や無理解が世の中に充満しているから、本人や家族はひきこもりだということを隠す。親子で社会との接触を絶ってしまい、ますます追い込まれていく」と話す。

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