両親が残した一軒家に住む三郎さん(仮名)。亡き母の写真を眺めながら「将来が不安」と打ち明けた=3月、福井県福井市内

 「自尊心はズタズタ。存在すら否定された」。福井県福井市の三郎さん=仮名=は小、中、高校でいじめに遭った。中学ではみんなの前で下半身を露出させられた。

 それでも不登校にはならなかった。母親だけは勉強ができる自分を認めてくれたからだ。期待に応えようと、必死で机に向かった。しかし高校時代、父の事業が行き詰まり自宅に借金の取り立てが来た。唯一の支えだった勉強が手につかず成績が落ちた。何とか高校を卒業し、予備校に通うため上京した。

 2年間アパートで1人暮らしをしたが、予備校には行かず部屋に閉じこもった。孤独の末に「俺はカール・ルイスより速く走れる」といった妄想が始まった。福井に戻り病院に通うようになった。バイトは続かず、福井でもひきこもった。

 6年前に父、3年前には母が亡くなった。両親が残した一軒家で1人暮らし。そして50歳を迎えた。

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 敦賀短大元教授で、家族臨床心理学の龍谿乘峰(たつたにじょうほう)さん(68)は「ひきこもりは、もはや社会問題」と指摘する。

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