昨年4月ごろから、首を動かすと痛みます。かかりつけの整形外科では「首筋の老化」と診断されました。頭のしびれも出てきたので、総合病院で再度診察してもらい、MRI検査をした結果、首の骨の先端右側が少し傷んでいるようだと指摘されました。薬を飲み始めましたが、大きな改善はみられず、コルセットを巻いて生活しています。脳神経外科では「首の骨が少し曲がっている。これが痛みの源だが治療は難しい」と言われました。何か改善策はないでしょうか。(福井県越前市、88歳女性)

【お答えします】上田康博・福井県立病院整形外科医長

■局所症状で手術はまれ

 首や頭に痛みを感じる原因としては、頚椎(けいつい)症や頚椎椎間板ヘルニア、関節リウマチに伴う頚椎の脱臼、頚椎後縦靱帯骨化症などが挙げられます。ほかには外力による頚椎の骨折や脱臼、脊椎の骨腫瘍、脊髄腫瘍、細菌感染による化膿(かのう)性脊椎炎などが原因となることもあります。頚椎の疾患以外に、大動脈解離など血管障害、内臓疾患、脳卒中や脳腫瘍など頭蓋内病変、眼精疲労などによって頚部痛を生ずることもあります。

 頚椎の病気で最初に現れるのは、後頚部や肩の痛みやこり、頭痛、不快感など「局所症状」です。さらに背骨の中を通る脊髄や神経が圧迫されると、手足のしびれや痛み、感覚が鈍くなる、手指の動きがぎこちなくなる(巧緻動作障害)、脱力感、歩きづらくなる、さらには排尿や排便の障害など「神経症状」が現れることもあります。

 質問の内容から、首や頭の痛みやしびれといった局所症状はあるものの、神経症状にまでは至っていない状態と考えられます。骨折や腫瘍、感染などが原因であれば局所症状のみでも手術を必要としますが、一般的な頚椎疾患では局所症状のみで手術を要することは極めてまれです。

■温熱、牽引、装具…治療法さまざま

 首の骨だけでなく、人の体は年齢とともに加齢性変化(変性)が生じるのは避けられません。「首の骨が少し曲がっている」とのことですが、骨や関節あるいは椎間板の変性のことを指摘されたのでしょうか。MRI撮影が行われれば多くの場合、脊髄や神経の圧迫、腫瘍性病変、感染など炎症性疾患があるかどうかは判明しますので、手術治療を要する重篤な疾患ではないことが考えられます。

 頚椎の変性に伴う痛みであれば、治療は鎮痛剤の内服や外用剤、局所注射、温熱療法や牽引(けんいん)、装具など保存療法が主体になります。鎮痛剤もかつては非ステロイド性抗炎症薬のみでしたが、近年は神経障害性疼痛(とうつう)に対する薬剤など選択肢が増えました。鎮痛剤の種類や量の調節で症状が和らぐこともありますので、まずはかかりつけ医によく相談されることをお勧めします。

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