退職日に子どもたちからプレゼントを受け取り笑顔の笠川さん=3月30日、福井県鯖江市の鯖江幼稚園・王山保育所

 福井県鯖江市の鯖江幼稚園・王山保育所の笠川みち子前園長(70)=同市=が3月いっぱいで退職し、50年の幼児教育人生を終えた。市によると、同市の幼稚園教諭で60歳定年後に10年間勤めたのは笠川さんが初めて。子どもの心に寄り添うことを心掛け、これまでに千人以上を送り出した。「こんなに素晴らしい仕事を続けられて幸せだった」と家族や同僚らに感謝している。

 笠川さんは5歳上の保育士の姉に憧れ、同じ道を志すようになった。大阪の短大で幼児教育を学び、20歳で鯖江市の採用試験に合格。51歳まで現場で担任などを務め、その後は副園長や園長を歴任した。

 幼児教育のやりがいは「子どもができなかったことができるようになる瞬間」。そのために遊びにも目標を持たせることを心掛けた。体験することが幼児期にはとても重要で、「できた」が自信につながるという。できない子にもとことん付き合い、「努力すれば必ず夢はかなうこと、応援してくれる味方がいることを伝えたかった」。

 誕生日会や卒園式などに子どもに手作りのコサージュを贈ることを約20年間続けた。その子を思って丁寧に作る作業は夜中までかかることもあった。「今は何でも買えて便利だけど、愛情が伝わるのが手作りの良さ」。園児たちのかばんを愛情たっぷりのコサージュが飾っていた。

 保育士不足や待機児童問題が全国的な課題となっている。笠川さんは「何百人、何千人の子どもの成長を近くで見ることができる仕事はなかなかないのに」と残念そう。「子どもを一番に考え、そのためにも先生たちの環境も整えてほしい」と保育や幼児教育の将来を願う。

 最後の勤務日となった3月30日、園児から笠川さんに似顔絵などがプレゼントされた。どの子が描いた顔も笑顔で笠川さんの人柄がよく表れていた。「泣くのは好きじゃない」と言って最後まで笑顔で子どもたちを見送っていた。

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