「全拉致被害者の一括帰国を求めるべき」と訴える西岡力会長=3月30日、東京都内

 北朝鮮をめぐる日米、南北、米朝首脳会談を控え、3月29日に日本人拉致被害者の早期救出を求める緊急集会を開いた「救う会」の西岡力会長に、北朝鮮の情勢や日本政府に対する要望を聞いた。西岡会長は「拉致を議題に上げるといった段階ではもはやない。米朝会談では、全被害者の一括帰国を迫るように強く求めてもらうべき」と主張し「核・ミサイルと拉致をセットで解決しなければ、制裁は緩めないという姿勢」を日米首脳に求めた。

 ―金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の訪中など、北朝鮮の動きが活発化している理由は。

 「ポイントは昨年9月。中国は国連決議に基づき、北朝鮮の石炭や海産物などの輸入を停止した。さらに同時期に米空軍の戦略爆撃機が北朝鮮上空に近づいたが、北朝鮮のレーダーは捕捉できず、平壌(ピョンヤン)はパニックになった。経済制裁と米国の軍事的脅威が背景にある」

 ―経済制裁は効いているのか。

 「対中輸出がほとんどできず外貨がないため、石油を購入できない。コメなどの物価は上がっていないが、高齢者など社会的弱者世帯では餓死者も出ているようだ」

 ―中国は北朝鮮を崩壊させたくないのでは。

 「北朝鮮イコール金正恩ではないと思う。中国にとって理想は改革開放をやる親中政権。米国にしてもポスト金正恩は親中政権でよいと考えている。あくまで核の廃棄が目的。その点で米中の利害は一致している。そのことを金正恩が察知し、危機を感じたのではないか」

 ―日本が置き去りにされているという指摘がある。

 「それはない。北朝鮮が米中に『○○に会いたい』と言って会っている状況。日本から『会いたい』と言えば、向こうに有利になる。大切なことは制裁を緩めないことと要求を下げないことであり、日本は米国に強く要求すべき」

 ―拉致についてはどんな要求をすべきか。

 「拉致を議題にするといった段階ではない。全被害者の一括帰国を迫るよう、トランプ米大統領に求めるべき」

 ―全被害者の数は把握できていない。どう検証するか。

 「そのとき帰ってきた被害者に聞く。外貨ショップや病院など、いろんな場所で日本人の話を聞いているはず。そういった情報を徹底的に検証していく必要がある」

 ―北朝鮮は拉致を認めながら、なぜ全員を帰さないのか。

 「(日本人5人が帰国した)2002年、当時拉致のシンボルだった横田めぐみさんや有本恵子さんを帰せば、日本は大歓迎したはずなのに帰さなかった。金一家の秘密や工作員情報を持っているからだろう」

 ―亡くなっている可能性は。

 「これまで死んだとされる人物の遺骨は1人も出てきていない。全て偽物だ。遺骨を管理していないという指摘もあるが、全員偽物というのはあまりに不自然だ」

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