鮮魚店にずらりと並んだ越前がに。「極」の効果で価格が上がっている=1月、福井県越前町

 一方、客足が鈍る懸念から仕入れ値の上昇を料金に転嫁できない民宿や飲食店は多かった。坂井市で民宿を経営する鮮魚店たけ庄の竹内修治社長は「料金は従来通りで営業し、利益はほとんど出ない状況だった。仕入れ値が上がったから値上げしました、と言っても常連さんには理解してもらえない」と嘆く。

 越前町内の民宿経営者は「リピーターが多く、早くて1年前に予約が入るため値上げはしづらい。今季は料金据え置きでカニのサイズを小さくして対応した。ただ人手不足で人件費も上がっているので、週末だけ千円上げさせてもらった」と実情を漏らす。

 同町内の鮮魚店主は「昨年末は特に高値で、常連でも『今年は買うのをやめておく』という人もいた」。値上げに踏み切った飲食店も多いという。県内の漁協関係者は「カニが高いのは漁業者にとってはいいことだが、民宿などのことを考えると何とも言えない」と複雑だ。

 県水産課によると、16年度の越前がにの競り値単価(1キロ当たり)は5542円で、ズワイガニでは全国トップ。2位の兵庫県産(4702円)、3位の京都府産(4199円)を大きく上回っている。竹内社長は「越前がには甘みが深い」と他産地との違いを強調する。

 それでも、越前町で旅館や鮮魚店を運営するかねともの中橋正人社長は「このまま高値が続けば、価格が安い産地に観光客が流れかねない」と危機感をあらわにした。

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