【論説】原子力規制委員会が、高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)の廃止措置計画を認可した。これを受け、日本原子力研究開発機構は、廃炉作業に本格着手する。度重なるトラブルや不祥事を受け、規制委から「失格」の判断を下された経緯のある組織である。安全に廃炉作業を進められるのか、県民や国民の厳しい目が注がれていることを忘れてはならない。

 計画によると、作業は30年後の2047年度までに原子炉建屋の解体を終える予定。大きく4段階に分かれ、第1段階の今年7月から22年度末には、炉心などから燃料530体を取り出す。

 問題は、水や空気に触れると激しく反応する冷却材ナトリウムの抜き取りだ。県民の記憶に新しい1995年のナトリウム漏れ事故でも、取り扱いの難しさは広く認識された。18年末をめどに抜き取る予定の2次系はまだしも、放射性物質を含む1次系は一層の困難を伴うだろう。

 燃料の取り出しは1本ずつ、模擬燃料棒と入れ替える必要がある。ナトリウム液は不透明なため、炉心の状況が見えず、リスクは高い。規制委の更田豊志委員長は最悪のケースとして「燃料取り出し中にナトリウムが漏れ、火災が起きることだ」と指摘。規制委幹部の「トラブル無しに作業を終える可能性は低い」という不穏な声は見過ごせない。詳細な抜き出し方法の検討に慎重を期すべきだ。

 燃料の処理も課題だ。毒性の強い燃料は国内での処理は見通せず、海外を含めた事業者の選定が必要になる。受け入れが決まるまで、もんじゅ敷地内に長期間保管される可能性がある。

 燃料などの取り出しの間に、その後の工程を検討するとしているが、進み具合によっては廃炉作業がさらに長期化する恐れがある。

 政府は必要な費用を約3750億円と試算。そのうち廃炉経費は約1500億円で、残りは施設の維持管理費としている。法外に膨れあがれば、国民批判は免れない。

 もんじゅは、国の核燃料サイクルの中核と位置づけられ、1兆円の国費が投じられた。ナトリウム漏れや炉内中継装置の落下事故、さらには、ずさんな保守管理も相次いだ。原子力機構は2015年11月、規制委から「必要な資質を有していない」との最後通告を受け、16年12月には政府の廃炉決定がなされた。

 国内では例のない作業で手探り状態は否めないが、失敗は許されない。廃炉が先行するフランスから来県中の技術者は協力を確約。「どういう組織が廃炉を実施するかで、結果は大きく変わる」と語った。その言葉を肝に銘じるべきだ。

 国が設置を表明した「廃止措置連絡協議会」は、福井県や敦賀市の危惧を受けてのもの。原子力機構は報告と説明を怠ることなく、また県や市には厳格なチェックを求めたい。何より先頭に立つべきは、国策として進めてきた国である。安全かつ速やかな廃炉に向けた責任は重い。
 

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