脳梗塞の血栓除去術のイメージ。血栓を吸引するタイプ

脳梗塞の血栓除去術のイメージ。血栓を絡め取って回収するステントタイプ

 福井県内で年間約2千人が発症する脳卒中。その6割を占める脳梗塞は脳血管に血栓(血の塊)が詰まる病気。血栓溶解剤を投与する治療が主流だが、血栓溶解剤は投与時間に制限があり、効果に個人差がみられることから近年、脳血管に血管カテーテル(細い管状の医療器具)を挿入して血栓を取り除く追加治療が積極的に行われるようになっている。高齢患者にも施術可能で、大きな後遺症を残さず回復する患者が増えている。

 脳梗塞の急性期治療は「tPA」という血栓溶解剤を4時間半以内に投与する治療により、患者の4割が回復するとされる。残る6割には効果がみられず、後遺症となることがある。近年、血管カテーテルや血栓除去用の診療素材が開発・改良され、短時間で安全に血流を再開する「急性期血栓除去術」を追加で行うことが可能になった。

 カテーテルは太ももの付け根から挿入する。掃除機のように血栓を吸引するタイプと、地引き網のように血栓を絡め取って回収するステントタイプがある。tPAを投与しても血流が再開しない場合に実施し、血栓除去ができれば、施術直後から意識や会話、まひの改善がみられる。tPAを投与できない場合に行われるケースもある。

 県内では県立病院、福井赤十字病院、県済生会病院、福井大医学部附属病院などで行うことができる。

 2016年に血栓除去術を導入した県立病院では、これまで約30人の患者に施術し、6割の患者が大きな後遺症なく元の生活に戻ることができた。発症前に元気な状態で、動脈硬化の度合いがさほど強くない場合は高齢者でも施術可能で、97歳の男性に行った例もあるという。

 同病院脳神経外科の東馬康郎科長は「脳梗塞により神経細胞がダメージを受けた後では、いくら血流が戻っても細胞が生き返ることはない。tPA適応患者は全体の5~10%に過ぎず、いかに早く治療を受け、血流再開できるかが鍵」と説く。脳卒中は▽顔がゆがむ▽腕が上がらない▽言葉が出てこない―が典型的前兆といい、「症状がはっきりせず、病気かどうか分からないときでも受診をためらわないでほしい。病気がないことを確認するのが有意義だと考えてほしい」と話している。

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