合成皮革の新素材クオーレの特長を説明するセーレンの山田和則グループ長=福井県庁

 福井県は15日、県版ミニ・ノーベル賞と位置付ける第13回県科学学術大賞に、合成皮革の新素材を開発したセーレン(本社福井市)の開発グループ(山田和則グループ長ら5人)が決まったと発表した。特別賞は、水虫の原因菌を簡単に検出する方法を実用化した福井大医学部の法木左近准教授(58)と鯖江市の石田久哉医師(55)を選んだ。

 セーレンの開発グループは車両内装用の新しい合成皮革「クオーレ」を開発し、事業化した。ポリウレタン樹脂や繊維などの材料や製造工程で独自の研究を進め、高い耐摩耗性と柔らかな触感を両立。従来品より有機溶剤の使用量は半分で、二酸化炭素排出量も65%削減し、環境負荷を低減した。

 「本革を超えた新素材」(セーレン)として高い評価を得ており、多くの自動車メーカーが車のシートなどに採用。車両内装材として世界トップのシェアを誇る。

 受賞者は2002年に開発に着手した山田グループ長(52)ら研究開発センター商品開発第一グループに所属した5人。山田さんは「難しい開発に付いてきてくれたメンバーに感謝したい。福井発の新しい素材が大賞に認められてありがたい」と喜びを話した。

 特別賞の法木准教授と石田医師は00年ごろ、当時の福井医科大で共同研究を始めた。水虫の原因菌で、人に感染する白癬菌すべてと反応する抗体を08年に世界で初めて開発し、白癬菌判定試験紙を作製。爪や皮膚片から白癬菌を検出する簡易キットの開発に成功し、16年3月に厚生労働省から爪白癬の診断用医薬品として認可された。爪などを検査液に浸せば、試験紙に現れる線で白癬菌の有無を判定できる。現在、公的保険適用を同省に申請中。水虫の早期診断、治療につながることが期待されるという。

 法木准教授は「長く研究を続けてきたので認められてうれしい。採取する皮膚片の標準化などさらに改良していく」、石田医師は「(簡易キットは)長く続いてきた水虫の診断方法が変わる可能性がある検出方法。今後も研究を進めたい」とした。

 県科学学術大賞は県内の篤志家の寄付金を原資に05年度に設けられた。今回は13件の応募があり、未来工学研究所(東京)前所長の長谷川洋作選考委員長ら5人が審査した。15日に県庁で表彰式があり、大賞に100万円、特別賞は50万円が贈られた。

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