荒島岳の頂上付近で撮影された、初期段階のアイスモンスター(右)=2月25日(柴田智史さん提供)

 東北地方でしか見られないとされてきた巨大樹氷「アイスモンスター」の成立初期段階の姿が7日までに、福井県大野市の荒島岳(1523メートル)で確認された。今年1月、南限とされてきた長野を越えて白山(2702メートル)で発見されており、樹氷研究の第一人者によると、福井県内でもアイスモンスターの完成形が出現する可能性があると指摘。「北陸地方の情報も集めたい」と注目している。

 アイスモンスターは樹木に零度以下の「過冷却水滴」がくっついて凍り、雪と一体化して木全体を覆ったもので、一つの大きな氷の塊となる。山形県の蔵王山や青森県の八甲田山など東北地方に限られているとされてきた。
 

 2月25日、友人2人と荒島岳を雪山登山していた柴田智史さんが、頂上から南側に少し下った地点(標高約1500メートル)で見つけた。枝が隠れ、一つの塊となった1本の木を見て「こんなに立派な樹氷は珍しい」と撮影した。
 

 柴田さんが写真をブログに載せたところ、白山での初確認にかかわった山岳ガイドの乾靖さんが気付き、国内の樹氷を研究している山形大の柳沢文孝教授(62)=環境科学=に鑑定を依頼した。
 

 柳沢教授は枝が全て氷に隠れている状況などから、でき始めた段階のアイスモンスターと断定。「さらに成長し氷が丸々とすると完成形になる。誕生したばかりの“ベビーモンスター”状態。長年北陸にはないとされてきたが、福井県内でも今回初めて確認された」と話す。
 

 今年北陸で発見が相次いだことに「北陸は雪が多く木が埋もれて見つからないと言われていたが、今冬は気象条件が違ったのかもしれない。白山や荒島岳での発見で、北陸からさらに情報が寄せられるよう期待している」と話している。柳沢教授は北陸での発見について5月の日本雪氷学会で報告するという。

 【アイスモンスター】樹木が氷と雪で巨大な塊となった、世界でも珍しい現象。山形の蔵王山の場合、平均気温マイナス10~同15度、風速10~20メートルなどの気象条件下でできる。過冷却水滴が樹木に衝突し凍っただけの樹氷は、枝と枝の間に隙間があり、エビフライが並んだようにギザギザしているため「エビのしっぽ」と呼ばれ、アイスモンスターとは区別される。隙間に雪が入り込み、木全体が一つの塊に成長するとアイスモンスターと呼ばれる。

 

関連記事