指導死が起きないような生徒指導の在り方を議論したシンポジウム=2月25日、名古屋市

 遺族への資料開示に消極的な対応への批判も。2013年に札幌市の高校1年生の男子生徒が吹奏楽部顧問の指導をきっかけに自死した事件だ。北海道は部員を対象に行ったアンケート結果を遺族に開示しなかった。

 しかし、遺族が起こした訴訟で札幌地裁は、アンケート結果を証拠として提出するよう道側に命令。学校側は家族が期待するような内容はないと説明していたが、実際には自死した生徒のことを思う言葉、自分を責める部員の言葉がたくさん書かれていたという。

 ■抜け落ちる「子ども」

 「教師と地域が一緒になって子どもに寄り添っていくことが大事。こうあらねばならない-という社会の見方自体を変えていかないと教師も子どもも大変」。医療や福祉活動などに携わる団体の女性(55)=名古屋市=はシンポジウムで意見を述べた。

 親の会共同代表の大貫隆志さん(61)=東京都=は「いい学校を望む多くの保護者など、問題行動に対する圧力は強い。教師は子どもと関わる時間を十分取れない中、どうしても短期間で効果を出すような指導方法を選ばざるを得ない」と教師の立場にも理解を示す。

 「いい学校」を望む保護者。それに応えようとする教師。「“善意のはざま”で子どもの観点がすっぽりと抜け落ち、子どもたちは逃げ場を失っているのではないか」。大貫さんは今後も指導死が増えていくことを危惧している。

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