指導死が起きないような生徒指導の在り方を議論したシンポジウム=2月25日、名古屋市

 福井県池田町立池田中の男子生徒=当時2年生=が校舎から飛び降り、自ら命を絶ってから3月14日に1年を迎える。昨年10月に公表された調査報告書には、担任や副担任の厳しい指導叱責が生々しく記載され、生徒指導をきっかけに自殺する「指導死」問題が改めて注目された。専門家が独自に調べた全国での指導死は昨年までの29年間で74件。ただ、問題とされる行動を起こした子どもの名誉を守るため、事件を公にしたくないと考える遺族は多く、「指導死」親の会は74件という数字を「氷山の一角」とみている。

 ■苦悩する遺族

 2月25日に「指導死」親の会が名古屋市で開いたシンポジウムには、池田中生徒の母親ら遺族も参加し、会のメンバーと顔を合わせた。

 7年前、高校2年生の息子を野球部コーチの暴力を伴う厳しい指導をきっかけに失った山田優美子さん(48)=愛知県=は「(池田中生徒の遺族が)孤立しているのではないか、学校や教育委員会とのやりとりに疲弊していないかと心配だった」と話す。

 指導死の遺族は、子どもを亡くした悲しみに加え、地域での孤立や無理解に苦しむケースが多く、他のメンバーもずっと気になっていたという。

 池田中生徒の母親は取材に対し「気持ちは同じなんだと思えた。共感できる部分がたくさんあった」と参加した感想を述べた。

 ■認めない学校

 シンポジウムの中では問題が起きたときの学校の対応について多くの意見が出た。

 「道義的責任と法的責任を混同しているから、多くの事故で学校は謝らない」。全国柔道事故被害者の会代表の倉田久子さん(57)=名古屋市=は訴えた。訴訟リスクを考えて、かたくなに謝罪を拒んだり責任を認めなかったりするような学校の姿勢に疑問を呈し「1人の生徒の命を重くみられない学校は何百人、千何百人という生徒の命を守れないのではないか」と話した。

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