農家民宿「ざくろの宿」の前で、近所の人と交流する柑本修さん(右)=福井県鯖江市

 「今までやってきたことの節目であり、東北のことを忘れてはいけないという思いが強くなる日」

 東京電力福島第1原発事故を受けて福島県から福井県鯖江市に移住した柑本修さん(49)にとって3月11日は、何年たっても特別な日であり続けている。

 現在は同市河和田地区内に約5千平方メートルの畑を借り野菜を有機栽培する傍ら、農家民宿を営み国内外からの訪問者を受け入れている。

 大阪府出身の柑本さんは、有機栽培について仕事で研究していた経験を生かそうと2004年、福島県二本松市で野菜の有機栽培を始めた。原発事故後は知人を頼り家族で福井市に自主避難。その後、鯖江市に移住することを決めた。

 畑を借りた河和田地区は、漆器産業が盛んで県外からも多くの移住者がいたため溶け込むのに時間はかからなかった。「地域に受け入れてもらった恩返しになれば」という思いから、15年に農家民宿「ざくろの宿」をオープン。伝統工芸と豊かな自然に恵まれた同地区の魅力を発信している。

 移住してから宿泊してくれたお客さんなどさまざまな人と関わりを持つようになった。「自分が前を向けるようになったのは、出会った人たちのおかげ」と柑本さん。「これからもいろんな人に来てもらい、地域の魅力を知ってもらいたい」と笑顔を見せた。

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 東北を中心に甚大な被害を出した東日本大震災の発生から、11日で丸7年。福井県のまとめによると、被災地から87世帯、計185人(10日現在)が県内に避難している。

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