集落前に広がる水仙畑に立つ山下恒和区長(左)と住民たち。高齢化が進む地域の将来が心配だという=3月2日、福井県越前町血ケ平

 海岸線に立ちはだかる六所山(698メートル)山腹にある福井県越前町血ケ平。3月初旬、山岸壽美子さん(84)は、日本海を眼下に望む地元集落に近い畑で点々と咲く水仙を摘み取った。「今年はいつにもない大雪やったけど、まだこうして咲いていてくれている。よかった」。日差しに輝く白い花びらを目に安堵の笑みを浮かべた。

 しかし話題が水仙栽培の将来に及ぶと、声を沈めた。「あと2、3年続けていけるか…」

 山岸さんは10年前、長く連れ添った夫に先立たれた後は1人暮らし。先代から受け継いだ約1ヘクタールの水仙畑を1人で守り続けている。既に出荷はしていないが、年2回の草刈りは自ら機械を動かしてこなしている。「今は何とかやっているけど、機械を持つたびに腰が痛くなるし、80歳を超えるともう作業は厳しい」

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 国内最大級の水仙栽培地が広がる越前海岸。近年、この地域の住民たちは過疎高齢化の波に直面している。血ケ平は海岸線の中核集落の一つに数えられるが、昭和期に50は超えていたという世帯数は半数ほどに減少。住人も半分以上が65歳以上の高齢者だ。山岸さんのように80代、90代の1人暮らしも多い。

 家屋は元のまま多く並ぶが、実態は空き家も目立つ。福井市など都市部に移った若い世代が、週末などに帰ってきては手入れする状態が続いている。水仙も同様で「以前は大阪などに切り花を出荷していた生産農家が集落内に20軒ほどあり活気があった。でも今は2、3軒が細々と出荷を続けているくらい」と区長の山下恒和さん(70)は現状を口にする。

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