トランプ米大統領が5月までに米朝首脳会談を行う意向を示したことを伝える大型ビジョン=9日、福井市のハピリンの屋根付き広場ハピテラス

 トランプ米大統領が金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談に応じる考えを示したことを受け、福井県内の拉致関係者からは「問題解決の最後のチャンス」と期待する声が上がった。ただここまでの流れは北朝鮮主導ともいえ、複数の関係者は「核・ミサイル問題に割って入って、拉致問題がどこまで取り上げられるだろうか」と不安を吐露した。

 「韓国と北朝鮮の首脳会談よりは期待が持てる」と話すのは、救う会福井の森本信二会長。トランプ氏は昨年9月の国連総会演説で、被害者横田めぐみさん=失踪当時(13)=の拉致に異例の言及をし、同11月に来日した際には、家族会と面会した。

 森本会長は「首脳会談で拉致に触れてくれれば、解決に望みが持てるかもしれない」と期待。被害者家族や特定失踪者家族が高齢化している現実を踏まえ「会談は最後のチャンス」と語気を強めた。

 一方、県内の特定失踪者家族は冷静にニュースを見守った。敦賀市の山下貢さん=1989年失踪当時(39)=の妹山森啓子さん(64)は「首脳会談の中では、拉致問題の話までいかないのではないか。そこまで期待していいのか」。越前市の河合美智愛(みちえ)さん=84年失踪当時(20)=の母喜代子さん(76)も「あまり期待しない。期待が大きいほど、後でつらい思いをする。これまでずっとその繰り返しだった」と複雑な胸中を吐露した。

 「会談をどこで行うのか、お互いどんな条件をつけるのか、実現までの障害は多い」と指摘するのは救う会副会長で福井県立大の島田洋一教授。「北朝鮮が簡単に非核化するとは考えにくく、最大限の経済制裁は継続すべき」と強調。日米首脳会談も4月にあることを踏まえ「安倍首相は、拉致を含めた問題解決の進展がなければ制裁をやめないということをトランプ氏と確認すべき」と日本政府に注文した。

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