昨秋以降、左手の指に慢性的なしびれが出るようになりました。主に親指、人さし指、中指がしびれます。腰痛を診てもらっているかかりつけ医を受診したところ「首からくるしびれではないか」と言われ時々、首のけん引、痛み止めとビタミン剤の注射をしています。日常生活にはさほど支障はありませんが、気になっています。どのような原因、治療が考えられるか教えてください。(福井市、80歳女性)

 【お答えします】水野勝則・福井総合病院整形外科部長

 ■手根管症候群の可能性

 一般にしびれの原因は二つに大別されます。一つは脳、脊髄、末梢神経など神経系の障害、もう一つは血管系の障害によるものです。

 「親指、人さし指、中指がしびれる」と聞いてまず思い浮かぶのは、頚椎(けいつい)(首の骨)の中、あるいは手のひらの付け根で神経が圧迫を受けているのではないかということです。

 頚椎の中には「脊髄」という太い神経の束や、脊髄から枝分かれした「神経根」という細い神経が通っています。このうち神経根が頚椎の中で圧迫されると、しびれや痛み、筋力低下などが起こります。これを「頚椎症性神経根症」といいます。この場合、圧迫される神経によって、しびれる指がだいたい決まっています。例えば、第6頚神経根の圧迫では親指~人さし指、第8頚神経根の圧迫では薬指~小指がしびれます。

 また、手のひらの付け根には「手根管」というトンネルがあり、「正中神経」という神経が通っています。この部分で神経が圧迫されると、親指~薬指にかけてのしびれや、親指の付け根の筋肉のやせなどが生じます。これを「手根管症候群」といいます。

 質問者のしびれの部位から考えて「手根管症候群」の可能性は高いと思われますので、最寄りの整形外科で正中神経の「神経伝導速度」の測定をお勧めします。伝導速度の低下や反応の遅れを認めれば診断が確定します。

 ■気長に付き合うことも

 しびれの治療は原因によりいろいろですが、一般にはビタミンB12製剤(末梢神経障害を改善)や、プロスタグランディン製剤(末梢循環および神経の血流を改善)の内服・注射が主流です。障害されている神経が特定できれば、神経ブロック療法が有効なこともあります。

 また、神経の圧迫が著しい場合には、手術により神経の圧迫を取り除くことが有効です。しかし実際には、いずれの治療法でもしびれという症状はなかなかとれにくいことが多いです。幸い日常生活に支障が出るほどではないようなので、しびれと気長に付き合うという心のゆとりも大切だと思います。

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