新しい緑内障手術に用いる長さ1ミリのステント(右)。左は拡大した見本=福井県済生会病院

 3月11~17日は緑内障の早期発見、治療を啓発する「世界緑内障週間」。

 40代以上の20人に1人が患うとされ、失明の原因にもなる緑内障を、白内障と同時に手術して治す新治療に、福井県済生会病院(福井市)が力を入れている。長さ約1ミリのステント(筒状の医療器具)を目の虹彩のつけ根に挿入し、眼圧を改善させる。国内で初めてこの治療を導入し、最多ペースで施術している同病院の新田耕治眼科部長は「緑内障は完治しないため、いかに早い段階で進行をストップさせるかが重要。目薬を差さなくてよくなったり、目薬の使用頻度を減らしたりできる」とメリットを語る。

 緑内障は虹彩の奥にある毛様体から出る水が、シュレム管と呼ばれる排水管にうまく流れず目にたまることにより、視神経を圧迫し、徐々に視野が狭くなる病気。新治療は目への負担が少ない「低侵襲緑内障手術」の一種で、排水管に長さ1ミリほどのステントを差し込むだけで、排水管に水を集め、視神経への負担を抑えられる。欧米では既に定着しており、国内では同病院が2016年11月に初めて導入した。現在は約100の医療機関で行われている。

 ステントは白内障との同時手術の場合にのみ使用が認められている。医師は▽白内障手術を100件以上経験▽緑内障手術を10件以上経験▽指定講習の受講-などが必要。患者には▽白内障を合併した軽度から中等度の緑内障▽20歳以上の成人▽レーザー治療を除く内眼手術を受けていない-などの基準がある。

 同病院は1年3カ月の間に50~80代の53人に実施した。「手術前に使用していた目薬の使用を7割以上の確率でやめられる。生活の質と見え方の質も維持できる」と新田部長。手術時間は10分程度と従来の4分の1ほどで、合併症の発症も少ないという。

 新田部長は「緑内障の手術時期は見えにくくなったり、見えなくなってからでは遅い。進行速度には個人差がある。『見えるから大丈夫』と思わず、見えるうちに進行を止める必要がある。気になる症状のある人はかかりつけ医療機関に相談してほしい」と話している。

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