報道陣の質問に答える岡田市長=26日、大野市役所

 「やり切ったという思いでいっぱい」―。福井県大野市長選への不出馬を表明した岡田高大市長は26日、記者会見でこう語った。市のかじ取り役を担い12年。自ら終止符を打つ決断に「これまで覚悟を持ち、全力投球で取り組んだ。心残りは一切ない」と述べ、晴れやかな表情を見せた。

 7年余りの市議時代を経て2006年、4年越しで市長初当選を果たし、当時「閉塞(へいそく)感が漂う大野に活力と元気を取り戻したい」と決意を語った。
 
 12年間、道路網をはじめとしたインフラ整備から大野の“自然素材”を生かしたまちづくりまでハード、ソフト両面を幅広く手掛け「初当選時に公約で掲げた課題についてはほぼ道筋が付き、だいたいの基盤ができた」と話す。
 
 12年には、人との結び付きや助け合いの精神が強い地域性を象徴し、ブランドキャッチコピー「結(ゆい)の故郷(くに)越前おおの」を掲げた。市民が自信と誇りを持てる古里を目指し、自然や水、食、歴史のブランド化を促進。人口減少が続く中、地方創生の鍵となる観光客入り込み数は5年連続で増加し「受け入れ態勢を整えたことが功を奏した」と成果を強調する。
 
 ハード面で特に力を注いだ中部縦貫自動車道の市内区間に関しては、早期開通を目指して国や県に働き掛け「全区間が事業化され、しっかり予算が付いた」とうなずく。
 
 任期満了まであと4カ月余り。「取り組むべきことは取り組んで行く。最後まで務め上げたい」と述べ、最後まで全力を尽くすことを誓った。

候補者選び 一気に加速

 岡田高大大野市長が次期市長選の不出馬を表明し、これまで停滞気味だった各方面の候補者選びが一気に加速しそうだ。
 
 「市政の流れを変えたい」との思いを抱きつつも「現職が強すぎる」と頭を悩ませていた一部の市議らは岡田氏の不出馬に驚きを隠さない。
 
 同市のこれまでの市長は最長3期で“引退”。一部市議の間では多選を懸念し、小中学校再編問題、市の財政面など現市政と反する思いを募らせ、対抗馬を探す動きが出ていた。
 
 市議の一人は「岡田氏に対抗するスタンスから次のステージに移った。争点は現市政の施策を継続するのかどうかになる」と気を引き締める。別の市議は「今日から候補者や後継者など、いろいろな話が出てくるのでは」と話した。
 
 一方、岡田氏の支援者からは惜しむ声が聞かれる。ある支援者は「地場産業が衰退しつつある中山間地域で、抜群の行動力を発揮している」と手腕をたたえ、「まだ済んでいない懸案事項もある。もう1期続投してほしかったが…」と肩を落とした。
 
 昨年、全域が過疎地域に指定された大野市。人口減少対策や学校再編をはじめ、中部縦貫自動車道の市内全通を見据えた観光客の受け皿体制の強化など、課題は多い。「行政の継続性がこれまで以上に大事になる」と話す岡田氏の思いが誰に託されるのかも含め、市長選に向けた今後の動きに注目が集まる。
 

 

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