福井県内の小学校の教室

 連載「ふくいを生きる 第5景『教育』」には、「『指導死』親の会」からも意見が寄せられた。札幌市で2013年3月、2歳年下で当時高校1年生の弟を自殺で亡くした会社員女性(23)は「部活の顧問は弟の人生を奪い、私の人生すべてが変わってしまった」と癒えることのない心の傷を打ち明けた。

 女性の弟は高校で吹奏楽部に入部。東日本大会を目指して意欲的に取り組んでいたが、秋ごろから他の1年生部員と思いがずれ始めた。1年生のリーダーを任されたことで嫉妬もあったとみられ、メールでのやりとりを含め、ある生徒との言い争いに発展した。

 同部顧問はその学校に勤続18年のベテラン教師で、吹奏楽部は学校全体の広告塔だったという。言い争いになった生徒が事実と異なることを顧問や先輩部員に伝え、顧問から「お前のやっていることは名誉毀損で犯罪だ。俺の娘に同じことをされたらお前の家に殴り込みに行く。警察にも訴える」と断罪されたという。「誰とも連絡を取るな、しゃべるな、与えられた仕事だけしていればいい」とも言われ、翌日、地下鉄に向かい自ら命を絶った。

 「顧問は思い込みで責め立て、弟の人生を奪い、弟とずっと仲良く生きていくという、私の当たり前の幸せをも奪っていった」。多くの人が自分たちの行いを正当化するため、弟を悪く言うことにも心を痛めた。

 指導死という痛ましい事件が起きないよう、女性は「大人の仕事の『楽さ』のために、教師は好き嫌いや思い込みで子どもを責め立てるようなことはしないでほしい」と強く訴える。
 

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