孤立していた集落で除雪作業をする住民。高齢者の生活が脅かされた=2月9日、福井市千合町

 「1人暮らしの母親が心配。屋根の雪下ろしを頼めないか」。福井市の積雪が37年ぶりに130センチを超えた2月6日、市地域包括ケア推進課に連絡が入った。電話の主は、親元から離れて暮らし、助けに向かうこともできずにいる静岡県の男性だった。孤立した高齢者の生活が脅かされていた。

 福井県内の65歳以上の人口割合を示す高齢化率は29・8%(2017年現在)。五六豪雪があった37年前の11・8%から格段に上がった。加えて三世代同居率は当時の約3割から半減し、近所に身寄りのいないお年寄りが増えた。同課に寄せられた高齢者関連の“SOS”は6日からの10日間で1500件を超えた。

 福井市シルバー人材センターは市の委託事業で、一定条件の1人暮らし高齢者宅の雪かきを請け負っている。6日は20件超の依頼が入ったが、会員も自宅の雪かきに手いっぱいで、派遣はままならなかった。「外を見るたびに積もっていく。真っ白で怖い」。電話口で泣きそうな高齢者を、担当者は「みんなが守ってくれるから。大丈夫だからね」となだめるしかなかった。

 民生委員の大島友治さん(68)=同市=は6日からほぼ連日、担当区域の1人暮らしの高齢者宅をスコップ片手に見回った。通院できずに持病の薬が切れそうな人は病院まで送迎した。「食べ物がない」と聞けば、カップ麺や冷凍食品を届けた民生委員もいた。

 エアコン室外機回りの雪かきができない高齢者は、ガソリンスタンドが閉まっていてストーブの灯油を買うこともできず、こたつに入って寒さをしのいでいた。募る不安のあまり、「避難所として公民館を早く開けてほしい」という声も聞かれた。

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