試験的に稼働を始めた電気自動車の充電ポスト=福井県越前町

 一般社団法人ブローホール波力発電機構(東京)が福井県越前町の施設で研究開発を進めているブローホール(潮吹き穴)波力発電が、実用化に向けた新たな段階に入っている。発電効率を高める改良を進める一方、近くに電気自動車(EV)の充電ポストや防犯灯を設置。世界初のシステムで起こした再生可能エネルギーを地域住民らに“見える化”して理解を深め、普及の一歩を踏み出す。

 同施設は2014年に建設。海岸線の岩場に直径1・4メートル、長さ約50メートルの穴3本を掘削し、出力30キロワットの発電機1基を回していた。昨年11月末に始まった改良工事は、経済産業省の補助事業を活用。3本のブローホールのうち2本に同15キロワットの独立したタービン発電機を設置した。形状の違う2種類のタービンを回し、効率を高める比較研究をする。

 改良に併せ、地域住民への理解を広げる事業をハード・ソフト両面で展開する。ハード面では発電機脇にEV充電ポスト1基、近くに防犯灯1基を設置。さらに地元の四ケ浦小に発電量を確認できるモニタリング装置を導入することで、起こした電気を町民や観光客が実体験できる仕組みをつくった。

 充電ポストは供用開始に向け22日から試験的に稼働。これまで同施設で発電した電気は一部を除き熱として放電されてきたが、一般住民が使えるのは初めてとなる。

 一方、ソフト面で発電への理解を図る事業では、柱として3月まで3回シリーズのワークショップを展開。県内を中心に活動する一般社団法人「ゆるパブリック」に事業を委託し、第1回が1月28日、町生涯学習センターで行われた。町内外から若者や漁業者24人が参加。機構の研究員らと再生可能エネルギーの現状を話し合うなどした。

 これらの成果は、3月3、4の両日に同町厨の道の駅「越前」で開かれる「第5回越前かに感謝祭」でブースを出展し披露する。さらに四ケ浦小での出前授業や住民向けの講演会、見学会を行うなどして地域理解を深めていく。町漁協との連携も模索する。

 同機構は「技術開発を一段と進めながら10年後には(商業発電などでの)実用化を目指したい」(宮崎武晃代表理事)とし、直径5メートルほどに大型化したブローホールを設置できればとの構想を描いている。

関連記事