アルドステロン症の傾向

 日本人の3人に1人がかかるとされる高血圧。生活習慣病のイメージが強いが、その10人に1人は、副腎から分泌される「アルドステロン」というホルモンの過剰分泌により血圧が著しく上がる病気で、脳血管障害などの合併症を引き起こすリスクが高い「アルドステロン症」とみられている。治療に力を入れている福井県立病院(福井市)の担当医は「脳梗塞で寝たきりになったり、心臓病が現れたりしてから初めて診断されるケースが目立つ。症状に思い当たる人は医師に相談してほしい」としている。

 高血圧の多くは、加齢や不摂生に伴い、血管のしなやかさが低下することによって起こる。塩分摂取の制限や降圧剤の服用が一般的な治療だが、中には降圧剤を服用していても血圧が低下しなかったり、脳卒中などの脳血管障害や冠動脈疾患を発症したりする場合がある。これは、副腎に腫瘍ができたり、副腎全体が肥大することによってアルドステロンが異常分泌されるアルドステロン症の可能性がある。高血圧と診断された人のほぼ10人の1人の割合にみられるという。

 通常の高血圧(本態性高血圧)とは治療法が異なり、正しい治療を行わないと動脈硬化が進み、脳血管障害や心筋梗塞といった重大な合併症を引き起こす危険性が高まる。同疾患の診療・研究を長年続けている県立病院内分泌・代謝内科の澤村俊孝医長は「アルドステロン症の人が脳血管障害を発症する頻度は、通常の高血圧の人の約10倍、高血圧ではない人と比べると約40倍にもなる」と語る。

 ▽160/100を超えている▽体内のカリウムの欠乏による脱力、頻尿の症状がある▽若年で脳梗塞になった▽40代までに高血圧を発症した-などの場合はアルドステロン症である可能性が高い。

 判定は、血液検査や薬物を投与してホルモンの反応を見る検査で行う。二つある副腎のうち、片方の副腎からアルドステロンが過剰に分泌される片側性病変は、手術での摘出が可能で、約7割の患者が降圧剤を服用しなくてもよくなる。両方の副腎から過剰に分泌される両側性病変は、内服薬で治療する。

 澤村医長は「アルドステロン症や血液検査への関心はまだまだ低く、単なる高血圧だと考えている“隠れ患者”は多いのではないか。早期発見・治療によって合併症はかなり抑えられる。症状などに思い当たる人は医師に相談を」と話している。

関連記事
あわせて読みたい