シンガー・ソングライターの指田フミヤさん=東京都内

「ファンタジー・オン・アイス2012イン福井」で演技する羽生結弦=2012年9月1日、サンドーム福井

 現状に満足せず飛躍し続ける王者は、困難を乗り越え勝負の舞台に戻った。フィギュアスケート男子の羽生結弦選手(23)。福井県内で開かれたアイスショーをきっかけに、共に挑戦を続け励まし合ってきた親友のシンガー・ソングライター指田フミヤさん(31)は「限界を超えてくれる」と五輪連覇を信じている。

 16日のショートプログラム。羽生選手は完璧に近い圧巻の演技で高得点を挙げて1位となり、連覇に一歩近づいた。

 2014年2月14日。羽生選手がソチ五輪のショートプログラムで首位に立ち、沸き返る日本で、ある曲がリリースされた。「documentary.」。指田さんが羽生選手のために作った。

 「振り返らないで 次のステージへ行くんだ」「目指す先へ 今ジャンプしてみよう」(documentary.より)

 「挑戦する姿を投影させた」という歌詞に、羽生選手は「めちゃくちゃうれしい」と感謝した。

 12年9月に福井新聞社などが主催したアイスショーで出会った指田さんを、羽生選手は「人生で初めてできた親友」と公言する。ソチ五輪の前後に指田さんが歌う「花になれ」をエキシビションでも使った。

 羽生選手が拠点にするカナダと日本をつなぐやりとりは、メールやLINE。2人は共通項を次々に発見してきた。「彼はアスリートで僕はアーティスト。リンクとライブのステージ、表現するのは同じ。その意味で親友であり、戦友でもある」と指田さん。本番へ集中力を高めるための瞑想も、観客への感謝も、言葉を交わすたびに「同じだね」と認め合ってきた。

 指田さんはソチ後、自分を追い込むような羽生選手の姿に感化された。マスクを着けたままのランニングなど、トレーニング方法やお薦めのサプリメントも教わった。ぜんそく持ちだが、ライブ中に動き回っても声が出にくくなくなり、3時間走っても息切れしなくなった。

 最近、米国での音楽活動に踏み出した指田さん。「とにかく止まりたくない」。高得点を出しても「まだまだやれる」とメッセージを送ってくる友との最大の共通点だと考えている。

 「お客さんを巻き込み、心を打つのはフィギュアの演技も歌うのもすごく似ている。そんな温度感を大切にしていきたい」と話したという羽生選手。「きっとこの先も世間が驚くような行動や得点を出してくるはず」。五輪連覇とその先を、戦友は楽しみにしている。

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