除雪作業をする男性ら=9日16時半ごろ、福井市千合町

 除雪が行き届かず、山あいの福井市殿下地区の集落が9日午後3時ごろまで100時間以上孤立した。高齢者ばかりが住む同市千合(ちごう)町では、数回にわたって停電が起き、簡易水道の不具合で、水の供給も滞った。買い置きしてある牛乳を少しずつ飲んでしのいでいたという70代女性は「助けてと言っても誰にも届かない」と不安を募らせていた。

 11世帯からなる集落のうち8世帯は1キロ以上の市道を通って県道に出る。ただ、市道の除雪を終えたのは同日午後3時ごろ。住民によると5日朝から孤立状態となり、大雪が降った4日間、完全に雪でふさがれていた。

 8世帯は高齢者が多く、1人暮らしが3世帯。妻と2人暮らしの田中時男さん(80)は「市道には除雪が入らず、1メートル以上の雪が積もっていた。県道にはとてもじゃないがたどりつけず、完全に孤立状態だった」。少しでも動けるようにと、家屋周辺の雪かきをしたり、踏み固めたりしていたが、高齢の体にはきつく、1メートル以上ある屋根雪は積もりっぱなしになっている。

 7、8日には停電も発生。夜には回復したが、不安は増した。8日の朝からは簡易水道の電気系の故障で、水も出なくなった。田中さんは「自宅から150メートルほど離れたところにある湧き水をバケツでくみに行った」。林佐兵衛さん(82)も「しょうゆのペットボトルなど3本をリュックに詰めて、湧き水をくみにいった。トイレの水は雪を溶かして流した。水が出なくなったのには参った」と話す。

 外に出られなかったという1人暮らしの70代女性は「水が一滴もない。近くには川もないし…。今は買いだめしてあった1リットルの牛乳2本を、食事の後に少しずつ飲んでいる」。屋外を歩いたときには、道と土手の境が分からなくなり、一時身動きが取れなくなった。「恐ろしくて外にも出られない」と不安そうに話していた。

 同日午後3時には除雪が行き渡り、集落は県道とつながった。市は同4時ごろ、8世帯に配るため、水を入れた20リットルのポリタンク計16個を積んだ車を出発させた。

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